03/11/10 (月)
【2003総選挙】
自民伸びず、民主躍進 与党は絶対安定多数確保
 第43回総選挙は9日、全国300の小選挙区と11ブロックの比例区(総定数180)で投票、即日開票された。自民、公明、保守新の与党3党は絶対安定多数の269議席を確保、小泉政権は継続する。だが、自民党は前回総選挙の233を上回る237議席を獲得したが、目標の単独過半数には届かなかった。民主党は選挙前の137から177議席へと大きく躍進、比例区では第1党となった。首相が2年半の構造改革路線の実績を訴えた「政権選択選挙」で有権者の支持を万全に得られなかったことは、今後の政権運営や政策遂行に不安を残した。民主党の菅代表は政権交代は果たせなかったが、来夏の参院選や次の総選挙への足がかりを築き、両党が政権を競う「二大政党」の様相が深まった。小選挙区の投票率は都道府県選管発表の集計で59.86%。00年6月の前回選挙の62.49%を下回った。

強まる二大政党化 共産と社民は1けたの議席
 今回の総選挙では、マニフェスト(政権公約)を前面に掲げた自民、民主両党による「政権選択選挙」となった結果、唯一、34議席に伸ばした公明党を除き、共産党は9、社民党は6、保守新党は4議席とそれぞれ1けたにとどまるなど小党には厳しい結果となった。二大政党に収斂(しゅうれん)しやすい小選挙区比例代表並立制が3度目の選挙で定着してきた結果ともいえるが、そのもとで多様な民意をどのように国会に反映させるか、課題も残した。
 小泉首相は9日夜、「与党3党で安定多数を取れば、継続して頑張れということだ。公約に従って、改革を推進する」と述べ、自らの構造改革路線が信任されたとの認識を示した。与党3党は10日、党首会談で連立政権の継続を確認する。
 自民党は同日夜、無所属で当選した江藤拓氏(宮崎2区)、古川禎久氏(同3区)の追加公認を決定。このほか、無所属で当選した数人が入党する方向で、「実質的には単独過半数を確保した」(党幹部)との見方もある。
 ただ民主党の大幅な躍進を許したことで、有権者の全面的な支持を得たとは言い難い。自衛隊のイラク派遣や郵政・道路公団の民営化、年金改革など年末に向けて仕上げようとした政策課題で指導力を発揮できるか、不安も残した。また、9月の党総裁選での圧勝に続いて90年の総選挙以来果たせていない単独過半数を確保することで、中曽根元首相以来の長期政権の足場を固める戦略は実らなかった。
 さらに自民党としては株価の回復基調などを背景に、「小泉・安倍」の二枚看板で都市部の無党派層の取り込みも図ったが、効果は十分とは言えず、長期的な低迷傾向に歯止めをかけたとまでは言えない。

 与党の中では、公明党のみが議席を増やした。
選挙協力で自民党の公明党依存が深まったこともあり、連立内部で同党の影響力が強まることも考えられるが、自民党内や野党から反発も出てきそうだ。
 一方、民主党は58年に当時の社会党が獲得した野党第一党の過去最高議席166を上回る躍進を果たし、今後の政権交代に向け弾みがつきそうだ。菅代表は「小泉政権はそう遠くない時期に行き詰まる」と述べ、イラクへの自衛隊派遣反対など、国会などの場で、さらに与党との対決姿勢を強める構えだ。さらに、来年夏の参院選、次の衆院選に向け、今回功を奏したマニフェスト選挙の充実や地方の組織強化を進めつつ、小泉政権を追い込む戦略を練り直すことになる。
 共産党は前回同様、小選挙区では議席を獲得できず、比例区の9議席にとどまった。社民党は議席を3分の1に減らし、土井たか子党首(兵庫7区)も小選挙区で落選、比例区でかろうじて復活当選した。両党は護憲勢力の維持を掲げるが、民主党を中心とした野党共闘がどう進むか、不透明な点も残った。与党でも保守新党が半減、熊谷弘代表(静岡7区)も落選した。

党幹部や閣僚経験者ら大物落選相次ぐ
 開票の結果、各党の幹部や閣僚経験者ら大物の落選が相次いだ。落選者のうち、自民党の山崎拓副総裁は10日に小泉首相(総裁)に副総裁の辞表を提出する考えを表明し、政界引退も示唆した。村岡兼造元官房長官も政界引退の意向を明らかにした。保守新党の熊谷代表は二階俊博幹事長に対し、代表を辞任する意向を伝えた。社民党の土井党首は小選挙区で落選したが、比例区で復活当選した。

 主な落選者は次の通り(敬称略)。

 【自民党】
村岡兼造(秋田3区)
太田誠一(福岡3区)
荒井広幸(福島3区)
山崎拓(福岡2区)
臼井日出男(千葉1区)
相沢英之(鳥取2区)
 【民主党】
二見伸明(茨城6区)
 【公明党】
若松謙維(埼玉6区)
 【共産党】
児玉健次(比例北海道)
木島日出夫(比例北陸信越)
 【社民党】
保坂展人(東京6区)
中川智子(兵庫6区)
 【保守新党】
佐藤敬夫(秋田1区)
熊谷弘(静岡7区)
松浪健四郎(大阪19区)


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