遺棄毒ガス弾等による事故
2003年8月4日、黒龍江省チチハル市フラルキの建設現場でイペリットが入ったドラム缶が掘り出され、43人被毒し、1人死亡するという事故が起こりました。日本政府は、化学兵器禁止条約にもとづき、遺棄化学兵器の完全廃棄に向けての取り組みを進めています。が、遺棄毒ガス弾による被害者の問題は放置されたままです。
【参照】毒ガス島歴史研究所
■今年の経過
10/19
<毒ガス中毒>中国政府に3億円支払う 日本政府と合意
北京の日本大使館は19日、中国黒竜江省チチハルで起きた旧日本軍の遺棄化学兵器による中毒事故について、日本政府が中国政府に3億円を支払うことで両国が正式に合意したと発表した。中国政府が過去に戦争賠償の請求権を放棄しているため「遺棄化学兵器処理事業にかかる費用」という名目で、賠償金の形はとっていない。(毎日新聞)
9/30
感極まる原告ら 遺棄化学兵器訴訟一審勝訴で
旧日本軍が遺棄した化学兵器により黒龍江省で起きた死傷事件3件の被害者やその遺族らが、日本政府に対し賠償を求めていた訴訟で、東京地方裁判所による一審判決が29日言い渡された。同裁判所は原告の起訴事実を認め、日本政府に対し原告13人にそれぞれ666万〜2千万円の賠償金を支払うとともに、裁判費用をすべて負担するよう命じる判決を下した。
原告の1人、李臣さんは「今日の判決結果には満足している。ついに正義が認められた。こういった悲劇が再び起こらず、両国の人々の友好関係が長く続くことを希望する」と語った。同じく原告の1人、劉敏さんは「8年にわたる訴訟は、長く辛かった。中日両国の弁護士たちが、大変な努力をしてくれた。亡くなった父に今日の結果を報告することができる。これをスタートとして、日本政府が中国に遺棄された化学兵器を迅速に処理し、このような事件の再発を防いでほしい」と話した。
旧日本軍七三一部隊による細菌戦被害者の賠償請求訴訟に尽力している王選さんは、「これは中日両国が関係をさらに改善するための契機かも知れない」と語る。王さんは「氷山が融け始め、状況が良い方向に向かっている」と表現した。
「人民網日本語版」2003年9月30日
8/22
旧日本軍遺棄毒ガス弾事故、重体の1人が死亡
斉斉哈爾(チチハル)市で4日に発生した、旧日本軍遺棄毒ガス弾事故の被害者の1人、李貴珍さんが21日午後8時55分、治療の甲斐なく多臓器不全で死亡した。
父親の李国雄さんは22日午前、李さんの遺体を、研究のため病院に献体する意思を表明。同時に地方政府を通じて、扶養費、慰謝料、交通費の支払いを含む、7項目の要求を日本側に提出した。
李貴珍さんは河南省出身、斉斉哈爾市で廃品回収業を営んでいた。4日午前、200元で購入した毒ガスの入った缶5個を、市内の廃品買い付け所に持ち込んだ。買い付け所でドラム缶の栓を外し解体作業中、うち2個から油状の液体が漏れて体にかかり、被害に遭った。(編集NA)
「人民網日本語版」2003年8月22日
8/9
毒ガス被害者36人に 中国、イペリットと認定
【北京9日共同】9日の新華社電によると、中国黒竜江省チチハル市で起きた旧日本軍が遺棄したとみられる化学兵器の毒ガス弾による事故で、被害者は36人に上ることが分かった。入院した29人以外に病院で治療を受けて帰宅した軽症者が7人いた。
中国の外務省、国防省、人民解放軍による調査チームはドラム缶状の金属容器から漏れだした溶剤を分析した結果、びらん性のイペリット(マスタードガス)と認定した。
36人のうち3人が白血球数の減少、呼吸困難などの重い症状を示しているが、ほかの被害者の容体は安定しているという。
一方、北京の日本大使館によると、黒竜江省牡丹江で遺棄化学兵器の調査に当たっていた専門家4人が事故の通報を受けて9日未明、チチハル市の現場に急行、旧日本軍による遺棄化学兵器かどうかを含め事実関係の調査を始めた。(共同通信)
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