03/08/27 (水)
 ごらん坊や、あのちっぽけな青い星が「地球」という星だ。あんな美しい星に住みながら、人間とか云う生物は自分たちの星を死滅させようとしているんだ。自分たち以外の生物たちを殺すばかりか、互いに殺し合い共食いをしているんだよ。いわば最強最悪の害虫だ。坊や、このフィルターを通して星を見てごらん。ほら、見えるだろう。人間という害虫の心が、こんなに汚れて星全体を覆っているようすが・・・毒ガスを吐き散らしてアメーバーのように広がる、邪悪な想念に浸蝕されてゆく末路の星だよ。坊や、よ〜く覚えておくんだ。この星は何億光年の、大昔の今だ。この星の、今の今を見ることはできない。でも坊や、もう分かっているね。この地球という星の未来が、どんなに悲惨なことになるか・・・こんなに無限の広がる宇宙に気付くことなく、何より愛の波動を感じることのない人間の不幸を、坊やはマネしちゃいけないよ。

 この地球の自然なしに人間は生きていけない。というより人間も自然の一部なのだ。地球を離れて人間は呼吸すらできない。宇宙人が地球にやって来たらエイリアンだが、宇宙における地球人もエイリアンだ。地球以外にいきどころのないのが地球人だ。(シラー)
 宇宙体験で得た唯一のものは、神の存在の認識だ。宗教によってみな違う名を神にあてているが、名前はどうあれ、指し示している同一志向の存在はある。名前は違うが対象は同じだ。宇宙から見た地球は美しい。こんな美しいものが偶然の産物として生まれるはずがないし、絶対に信じられない。地球はそれほど美しい。何らの目的もなしに、何らの意志なしに、偶然のみによってこれほど美しいものが形成されることなど有り得ない。そんなことは有り得ないということが、宇宙から地球を見たときには確信となる。この美しさを自分だけが見ているということが、ひどく利己的行為に思えたぐらい、地球は美しい。(サーナン)
【立花隆著「宇宙からの帰還」262-265頁より抜粋要約】

 願わくば「この美しい星に住む、人間の心も美しい」と云われるようになりたいものだ。
 
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