1993年版戦略「USFK5027」は今から10年も前のものとあって、これは古典的戦略の部類にあり、当然現状に即した戦略とは成り得ない。10年前にこれを公表した時点で、新戦略「USFK5027」に北朝鮮はどう反応するか?米韓は探りを入れる狙いがあったろう。軍事衛星の分析から、軍事基地の変動を追い、かつ「USFK5027」に修正を加えていく。互いの戦略を検証しながら、その裏をかく新戦略を打ち立てる作業が繰り返される。
総じて、この新戦術は米韓両軍にとっては「撃たせて撃つ」ことになるのではないか、と思い至る。北朝鮮は板門店にある第3トンネルに主力部隊を結集し、総力をあげてソウルを目指すのが最も効果的な攻撃となる。それと同時に第1、2、3の各トンネルからも一斉に進軍する。ここ軍事境界線一帯は北と南の正面きっての戦闘になる。そうさせておいて、一方では米韓合同部隊が日本海から元山に上陸、高速道路から西方の平壌を目指す。迂回作戦である。秘本兵法36計の「第8計、暗渡陳倉」攻めると思わせ、敵が守りを強固にしたところに、別方向から不意打ちをかける。この場合、ソウルの第1と第6軍団は徹底抗戦の構えをしながら、実際の主力は海から元山に上陸する奇襲部隊に置くと思われる。かくして元山から一気に平壌に攻め入る米韓両軍に対し、北朝鮮軍は主力部隊を南北に分断されることになる。平壌を制圧したら米韓軍は、その攻撃の矛先を軍事境界線に返し、軍事国境線で北朝鮮軍は挟み撃ちになる。つまり、北へ進軍した米韓両軍は、平壌陥落をもってそれ以上の北進は避け、逆に南進するのだ。奇妙に思われるだろうが、北朝鮮と中国の国境地帯での戦闘はやらない約束になっているのである。
とまあ、素人考えで何かと憶測しているが、前述したようにベースとなる戦略「USFK5027」自体が古典の域を出ない。
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