また電話を止められた某同業者、不況の深刻さを象徴しているようで、しばし呆然とする。これでは連絡を取ろうにも取れない。月に一回程度の仕事で先行き不安を吐露していた社長は?ガンの転移でいつも体調を崩していた奥さんは?そんな両親を助けようとしていた二人の息子たちは?みんなどうしているのだろう?・・・電話代も払えぬほどの経済苦が、もはやあたりまえになってしまっているほど、不景気が馴染んでしまっている。これでは病気になっても病院にも行けないと嘆いていた奥さんは、実際に病院に行くこともなしにいたけれど・・・ガン細胞はそんなこととは無関係に増殖しつづけているのではなかろうか?借金の肩代りをしたばかりに、新築したばかりの自宅を売り払い、それでも借金は無くならずに利子を払いつづけてきた社長・・・その後、どうしたの?どうなったの?
突然の雷雨に、いっそ悩める私のボンクラ頭にカミナリの直撃を願いながら、平成大不況に押し潰されている同業諸氏の行方を案じている。自分の頭の蝿も追えないのに、だ。
傍らではブラウンが嘔吐している。どうやら尿毒症になったらしい。ゴメンな、病院に連れて行くオカネが無いんだ。苦しいのか、突然狂ったように悲鳴をあげて走り回るブラウンに、そして自分にもゴメンな。持病の足の痛みを引きずって、そろそろ仕上げねばならぬ仕事に向かう。
長かった梅雨に、今年は海水浴にも行けなかったと、嘆く人々・・・あなたたちはそれでも幸せだ。でも、羨ましいとは思わない。日本列島の光と影、そのコントラストがより鮮明になってきた。いっそ影そのものになって、踏まれていたいものだ。今日は考えがまとまらぬ。考えることが億劫になっている。危ないね。他人や国に自分の考えを委ねてしまう危険のことさ・・・しっかりしなくちゃ。
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