2001/10/8
食べるものがない
なにも
昨日までは動物の餌を食べていた
と
でも今日はなにも食べるものがない
と
アフガン難民の、人々の言葉が
いつまでも
私の頭の中で反響している
そんな時に
タリバンとアメリカの戦争が始まり
アメリカはミサイルと食糧とを
同時に投下した
なんだろう?
これは・・・
聖戦と正義の戦争という
奇妙な大義の対立に
難民の命が右往左往している
私はビールを飲みながら
テレビの戦争を見ている
チーズを食べながら
食べるものがない
と
嘆くアフガン難民の悲痛を
実感することなく
ただ頭の中で反復しながら
ビールを飲みチーズを食べていられる
私は偽善者だと
思いながら
ただ
食べて
飲んで
生きていられる
自分の命の奇妙さに
空虚な現実だけを実感している
人間、この奇妙な生きもの
ミサイルと食糧とを同時に
与え享受できる
この奇妙な怪物
人間
狂った世界でも発狂せずにいられるほど
人間らしく
逞しく
生きていくのが苦痛になった今の私でも
食べて飲んでいられるうちには
人間であり続けるのだろう
友が帰ったあとの静けさと
缶ビールの空き缶と
深夜三時の私の孤独