さようならペロ

最期の別れをする猫たち

ある日、信号が青になって、横断歩道を渡る黒い猫を見た。
感心な猫だ思ったら、それはペロだった。
私が呼ぶと、いつも何かを訴えるように鳴くペロ。
何を言いたいんだ?と私が訊ねると、さらに強く鳴いた。
すぐ逃げる臆病な猫でもあった。
なさけない表情は「男はつらいよ」と言っているように見えた。
その点では私に似ていた。
男はつらいよなぁ、ペロ。
おまえはよくゴミ漁りするから、悪いものでも食ったのだろう。
あの世でゴミ漁りしないよう、キャットフード入れてやるからな。
今夜はみんな集まってくれたぞ。
さようならペロ、そしてありがとう。