私たちは加藤博事務局長と日本人通訳の水田昌宏氏の一刻も早い解放を中国関係当局に要求します!
北朝鮮難民救援基金代表
中平 健吉

 私たち「加藤博さんと水田昌宏さん(通訳)救援対策委員会」は多くの情報を分析し、検討した結果、彼らが今尚、中国東北地域、ことに吉林省あたりで中国関係当局に不法に拘束・監禁されている可能性が最も高いという認識に確信を持ちました。

 当初、私たちは北朝鮮特務機関の関与の可能性も疑いましたが、現在の国際情勢ならびに3月の北朝鮮難民のスペイン大使館亡命事件以降の中国当局の姿勢から判断して、可能性は極めて少ないと思います。なぜなら、この事件以降、北朝鮮難民の外国公館駆け込み亡命は押しとどめられない流れとなり、危機感にかられた中国当局は、地方レベルではなく極めて高いレベル、すなわち中央政府から公安部副部長、辺防隊(国境警備)副参謀などを団長とする監察団、視察団を国境近くの吉林省に送りこんでいるのを知っているからです。そういう中で、中国当局の監視なく北朝鮮特務が自由に動き回れるわけはなく、独自に活動できるのは極めて困難だと結論付けました。
 中国当局は日本外務省の問い合わせに対して、「大連市周囲にはそのような日本人該当者を関係機関は把握していない」とおざなりな回答をしています。しかし、私たちはこの間の活動のなかで、中国当局が加藤博をつけ狙い、いろいろな罠を仕掛けていたことを察知していました。そのため、極めて慎重に国境周囲には近づかない対策をとってきました。しかし、何らかの巧妙なおとり(緊急な難民救援などの要請等)によって大連の天富大酒店(ホテル)から通訳の水田氏とともにおびき出され、現場で逮捕・拘禁されたものと思われます。中国当局が加藤さんの動向・監視をしていなかったというのは極めて不自然であり、中国当局以外の組織が関与することも極めて困難で、不自然であるからです。
 中国関係当局が加藤さんたちの所在をいまだ明らかにしないのは、明らかに国際レベルでの人権・人道の観点からしてサボタージュしているとしか私たちには思われません。このような関係当局による人権・人道の軽視は、中国の国際的立場を傷つけるだけでなく、2008年に開催予定の北京オリンピックさえ、外国人の安全の確保という観点からみて、世界中に危惧を抱かせるに十分であります。
 一刻も早く加藤氏と通訳の水田氏の所在をあきらかにし、彼らを解放することを中国当局に強く要請します。
2002年11月3日
北朝鮮難民救援基金代表
中平 健吉
去る8月31日土曜日の午後7時頃に吉林省長春市の鉄道駅付近で北朝鮮脱出者11名(女性5名、男性5名、15才の少年1名)が中国当局により逮捕されたことについて、強い懸念を有していることをお伝えいたします。かれらは、難民としての地位を求めて北京へ行く途上でした。また、逮捕時に彼らと一緒にいた、中国人救援で有名な活動家、Kim Hee Taeも逮捕されました。これらの北朝鮮脱出者は、以前にも中国当局により逮捕され北朝鮮に送還された者です。
北朝鮮難民救援の加藤さんら中国が拘束、強制退去へ

 【北京5日=佐伯聡士】北京の日本大使館によると、中国外務省は5日、遼寧省大連で行方不明になっていた「北朝鮮難民救援基金」(中平健吉理事長、東京都文京区)の加藤博事務局長(57)について、出入国管理法違反などの疑いで拘束したが、不起訴とし、6日に中国から強制退去させると日本側に通告した。また、加藤さんに同行していた通訳の水田昌宏さん(30)については、そのまま留学を認めることにしたという。中国側の説明によると、加藤さんは10月30日、大連で北朝鮮住民の不法入国をほう助し、各国大使館への駆け込み計画を画策した疑いで、公安部門に拘束された。通告までに時間を要した理由について、中国側は「事実関係の把握に時間がかかった」と釈明している。中国では、今年3月以来、北朝鮮脱出者の外国大使館への駆け込み事件が頻発しており、中国側は、民間活動団体(NGO)の支援活動に対する警戒を強めていた。(読売新聞)