バグダッドの報道機関に砲撃 特派員ら3人死亡
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バグダッド市内で8日、報道機関に対する攻撃が相次ぎ、記者、カメラマン合わせて3人が死亡した。チグリス川西岸地区の官庁街近くにあるカタールの衛星テレビ・アルジャジーラの支局に同日朝、ミサイル2発が撃ち込まれ、パレスチナ人特派員1人が死亡、カメラマン1人が負傷した。同じ地区にあるアラブ首長国連邦のアブダビテレビの支局も、空爆を受けた。アルジャジーラは「真実を隠蔽(いんぺい)するため米軍がアラブメディアを攻撃した」と報じた。
一方、東岸の中心地にあるパレスチナ・ホテルの15階付近が同日午前、米陸軍第3歩兵師団の戦車から砲撃を受けた。ロイター通信によると同通信のウクライナ人テレビカメラマン1人が死亡、記者や技術者3人が負傷した。AP通信によると、ほかにスペイン人テレビカメラマン1人が死亡した。
同ホテルは外国人ジャーナリストが取材の拠点にしており、日本人を含む約300人が滞在している。イラク情報省のプレスセンターが空爆で破壊されてから、サハフ情報相の記者会見場としても使われた。AP通信によると、砲撃を受けた当時、ホテル周囲では戦闘があった。
米中央軍の同日の記者会見で、攻撃についての質問が相次いだ。ブルックス准将は「ホテルから攻撃を受けたので反撃した。ジャーナリストを標的にしていることはない」と話した。英BBCの記者は、ホテルから中継で「砲撃の前後、ホテルからの銃撃音は一切なかった」と伝えた。
イラク国民による暫定政権を早期に 米英首脳一致
ブッシュ米大統領とブレア英首相は8日、英国・北アイルランドのベルファスト郊外で前日に続いて会談し、共同記者会見で声明を発表した。両首脳は「イラク国民による暫定政権を可能な限り早期に樹立する」との方針で一致した。ブッシュ大統領は、フセイン大統領について「権力を失いつつある」と語った。
イラクの戦後に向けた国連の役割について、米英の立場の違いが伝えられていたが、この日の共同声明は、人道支援と戦後の統治機構を支援する新たな国連安保理決議を求めることを表明。ブッシュ氏は「国連は決定的な役割を担う」と語り、一定の協力を求める方針を示した。
国連の具体的な役割についてブッシュ氏は「暫定統治機構に参加する人材の推薦を受けつける」と表明。国際協調を重視するブレア氏に多少の歩み寄りも見せたが、それ以外は「食糧や医薬品などの人道支援」とだけ挙げ、踏み込んだ説明はせず、あくまで米英主導を譲らない方針も示唆した。
フセイン政権の現状についてブレア氏は「弱体化し、崩壊し始めた」と語った。米英軍が7日にバグダッドでフセイン大統領を狙った空爆を行ったことについてブッシュ氏は「彼がまだ生きているかどうかはわからない」としつつ、「イラク人の首を絞めていた指は1本ずつ外されている」と強調した。
ブッシュ氏は中東和平問題について、パレスチナ自治政府のアラファト議長がアッバス氏を首相に任命したことを歓迎。「彼の組閣を期待している。それが行われてこそロードマップ(道筋)が提示できる」と語り、「和平は可能だ」と強調した。
(04/08 22:18)
米英軍がフセイン大統領狙い爆撃 14人死亡報道
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米英軍はイラク現地時間7日午後(日本時間同日夜)、バグダッドの住宅地区にあるレストラン付近を爆撃した。AFP通信によると、約14人が死亡した。米中央軍は、フセイン大統領と2人の息子らが会合を開くという情報に基づき攻撃したとしている。大統領の安否は確認されていない。
B1爆撃機1機が、精密誘導弾4発を投下した。
(04/08 21:41)
米「復興人道支援室」がイラク南部に行政官20人派遣
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イラク戦後復興に向けた暫定統治機構設立の前段と米国が位置づけている行政組織「復興人道支援室」(ORHA)は8日、イラク南部のウムカスルに行政官約20人を派遣し、人道援助の開始に向けた準備作業を始める。ロイター通信が同日、ORHA関係者の話として報じた。
ORHAはガーナー元米陸軍中将ら軍関係者に率いられ、クウェートにはすでに米国などの行政官多数が到着している。ウムカスルは南部イラクでのORHAの最初の活動拠点となる。
(04/08 21:18)
国連主導でイラク人による暫定政府を 湾岸6カ国外相
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ペルシャ湾岸6カ国がつくる「湾岸協力会議」(GCC)は7日夜、クウェート市で緊急外相会議を開いた。会議後に出された共同声明でGCCは、イラク戦争後、イラクの主権と統一、国民の安全が保障された上で、国連の主導で暫定政府がすみやかに樹立され、イラク人の手で運営されるべきだと求めた。
GCCは暫定政府の樹立、運営には直接関与はせず、イラクの戦後復興のために経済、人道援助を行うことで合意。イラクからミサイル攻撃を受けているクウェートの防衛にGCCが協力する方針でも一致した。
(04/08 20:45)
複数のイラク高官がシリアに逃亡か 国営イラン通信
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国営イラン通信は8日、クルド愛国同盟(PUK)が運営するテレビの報道として、複数のイラク政府高官がシリアに逃れ、亡命を求めていると伝えた。高官の具体的な名前や人数などは不明。
(04/08 19:30)
「国境なき医師団」2人が消息不明 イラク当局が拘束か
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バグダッド近郊の病院で活動をしていた、国境なき医師団(MSF)の6人のチームのうち、2人が行方不明になっている。MSFは8日、「イラク当局に拘束されている可能性が高い」として、解決を求める声明を出した。
MSFによると、行方不明になっているのはミッション責任者のフランス人(43)とスーダン人(31)。2日から電話連絡が取れなくなっているといい、残る4人も現在は活動を停止している。
6人は開戦前からイラク入りし、現地の病院で医療支援や医薬品の供給を行っていた。
(04/08 17:44)
イラク報道、戦禍伝えるアルジャジーラと戦果の米FOX
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米軍によるバグダッドの大統領宮殿占拠を、米国と中東の電波メディアはそれぞれどう伝えたのか。7日深夜から8日未明の放送を比較すると、米国のケーブルテレビ局FOXニュースが戦力の格差を誇示することに重点をおいたのに対し、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは被災市民の表情を手厚く伝えた。両者の視点の違いが浮き彫りになった。
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アルジャジーラは、米軍の大統領宮殿占拠の事実をさらりと紹介しただけだった。モスル、バグダッド、バスラなどイラク国内の主要都市にいる特派員の現地報告を中心に放送した。
宮殿占拠については、FOXニュースの特ダネ映像はなし。司会者が事実を伝えた上で「米軍は力を誇示したかったのだろうが、本格的な戦闘はこれから」とする元エジプト軍幹部のインタビューを使って淡々と報じた。
力を入れたのは、この日の市民の表情だった。バグダッドからは「米軍が市内の民家を立ち入り調査している」と報じ、家から庭に追い出され、銃を構えた米軍の前でひざまずいておびえる女性や子どもの映像を紹介したほか、負傷者があふれる市内の病院を取材した。北部のモスルからは「(米軍の誤爆で死者が出たが)米国との協調関係は今後も変わらない」とするクルド人勢力幹部のインタビューと一緒に「フセインに命をささげる」とこぶしを上げる市民の声を伝えた。
英米軍側とイラク側の会見の内容は約1時間の枠で正味5分程度。米中央軍前線司令部ブルックス准将、サハフ情報相などの会見を均等に手短に伝えた。
クウェート人軍事評論家とイラク人ジャーナリストの対談番組では「民主化後のイラクとの友好関係構築を期待する」と話した評論家に、ジャーナリストが「私たちは湾岸戦争の恨みを忘れていない」とかみつく一幕があった。
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FOXニュースは、イランとクウェートの通信社がバグダッドでサダム・フセイン派に対してイラク市民が蜂起し、サダム派が私服に着替えて逃げ出していると報じたことを繰り返し伝えた。
「イラク市民がどれくらい見たかわかりませんが、FOXが世界に届けた米軍の戦車が大統領の宮殿を包囲する映像が蜂起につながったのかもしれませんね」。カタールからの報告でキャスターが言うと、隣の記者も同意し、「イラク市民は新しい世界が到来したことを悟り、米英軍を信頼し始めているのではないでしょうか」と話した。
キャスターはさらに「戦争が始まってまだ20日しかたっていないのに、あんなすばらしい映像が見られるとは思わなかった」とも。第2次世界大戦中、政権の終焉(しゅうえん)を悟ったヒトラーがピストルで自殺したことをあげ、「サダムもこうなる運命だと多くの人は見ているのでしょうか?」と、元米中央情報局(CIA)要員に問いかけた。
イラク側の情報はほとんどなく、サハフ情報相が記者会見で米英軍の侵攻を否定した映像を数秒流しただけ。キャスターは「(米中央軍の)フランクス司令官が情報相と会っても、まだ『米軍はいない』と言い張るのではないか」と皮肉った。
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<アルジャジーラ> 96年にカタールに設立された24時間放送の衛星テレビ局。島または半島の意味。記者の大半は中東諸国出身で英BBCの経験者が多く、「中東のCNN」とも呼ばれる。民間放送だが、カタールの王族らが経営権を握る。一昨年10月のアフガン空爆直後、オサマ・ビンラディン氏の肉声ビデオを放映して世界に知られた。視聴者は中東・湾岸地域に3500万人、欧州800万人、米国に15万人。イラク戦争では捕虜や兵士の死体映像を流し、米英から「イラクの手先」と批判された。
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<FOXニュース> 映画会社やテレビ局などで構成する米FOXグループの一つで、ニュースを24時間流すケーブルテレビ局。世界の「メディア王」、ルパート・マードック氏率いる豪ニューズ・コーポレーション傘下にある。米3大ネットワーク、CNNテレビと合わせ、5大ネットとも呼ばれるが、最も保守的と称されることが多い。イラク戦争では2月にバグダッドの特派員がイラク政府から追放されたものの、米ケーブルニュース局の視聴率争いではトップを走っている。
(04/08 15:06)
フセイン大統領と息子狙い空爆 米軍、強力爆弾4発使用
米中央軍は7日、イラク時間の同日午後、バグダッド市内の住宅地区で、フセイン大統領と2人の息子らが会合を開く予定のレストランと関連施設を米軍が空爆したことを明らかにした。爆撃時に大統領らがいたかどうかや、爆撃の結果については確認されていない。開戦時に米軍が取った大統領本人を標的にした攻撃と同じパターン。最高指導部が会合を持つというイラク政権内部からの事前情報に基づき、施設を攻撃したとしている。
B1爆撃機1機による攻撃で、地下壕(ごう)も貫通する2千ポンド(900キロ)の爆弾4発が使われた。4日にイラク国営放送が流したフセイン大統領とみられる人物が街頭に出た映像も参考にして、所在地を特定したという。
中央軍のバーレット報道官は「非常に強力な爆撃だった。成果は調査中だ」と述べた。AFP通信は、この大統領を狙った空爆で市民14人が死亡したと報じた。
米英軍がこの段階でイラク指導部の直接攻撃に再び踏み切ったのは、軍事的に追い詰められたフセイン政権にとどめを刺す狙いがあったとみられる。
イラクの現体制はフセイン大統領と一族の独裁と恐怖政治によって維持されているとみられるだけに、指導部が崩壊すれば政権を維持する要素はほとんどなくなる。
これまで数々の空爆から逃れてきたフセイン大統領だけに、今回も生き延びた可能性はある。しかし、大統領のいとこで側近中の側近でもあったアリ・ハッサン・アルマジド元国防相が米英軍の空爆で死亡するなど、イラク側の「情報管理」にゆるみも見える。人一倍、猜疑心(さいぎしん)が強いといわれるフセイン大統領だけに、自分の居場所が的確に狙われれば、指導部内の「裏切り」への疑念を強め、結果的に指導部が内側から崩壊する可能性も高まるとみられる。
一方、バグダッド市内で8日未明、大きな爆発音や銃声が聞こえ、火災も起きたと現地からの報道が伝えた。7日占拠した大統領宮殿に残留している米英軍に対し、イラク側が反撃に出ている可能性があるという。AFP通信によると、爆発音は外国報道陣が滞在しているチグリス川東岸のホテルの対岸の方向で5回起き、しばらく火災が続いた。その後も散発的に戦闘が続いている模様だという。
ロイター通信は、米軍が占拠する宮殿にイラク側が急襲をかけたとみられ、火の手も見られた、と伝えた。米英軍側はロケット砲などで応戦した模様だという。また、8日朝には川の西岸の情報省ビル付近で大きな爆発音が2度響いた。米英軍の空爆の標的となった可能性がある。
(04/08 13:27)
戦後の国連の役割で調整続く 米英首脳会談
ブッシュ米大統領とブレア英首相は7日夜(日本時間8日未明)、英国・北アイルランドのベルファスト南郊にあるヒルズバラ城でイラク戦争をめぐって会談した。バグダッド攻略が大詰めを迎えている戦況や戦後処理問題、国連の関与などを中心に協議。国連の役割をめぐる調整は8日の最終協議に持ち越された。一方、米国は今週中に暫定政権の樹立に向けた動きを本格化させる方針を明らかにした。
英BBCは7日、会談でブレア首相が戦後処理を国連主導で行うべきだと主張したと報じた。また、英紙インディペンデント(電子版)は8日、英政府高官の話として、ブレア首相がブッシュ大統領に対し、国連にイラク暫定政権のメンバーを任命させる「妥協案」を提示したと報道。米英の主要メディアでは、国連の役割をめぐる双方の意見の溝が埋まらなかったとの見方が一般的だ。
会談に先立ち、パウエル米国務長官はベルファストに向かう大統領専用機中で記者団に対し「戦況は結末へと向かっている」と指摘。「戦後について、どのようにしてイラク社会のすべての勢力からなる政府を創設するかについて考える時に来ている」と語った。また、そのうえで、暫定政権づくりの準備のため、今週中にイラクへ担当者グループを派遣する方針を明らかにした。
さらに「政治的危険を冒し、人命を犠牲にした(米英の)連合が、再建に向けて指導的役割を果たさなければならない」と述べ、イラクの戦後処理で国連に主導権を握らせるつもりのない姿勢を示した。また、国連の役割をめぐって取りざたされている英国との考えの違いについては「新聞で読むほど議論や相違はない」と語った。
一方、ブレア首相の報道官は会談前に記者団の質問に答え、終戦後の一定期間はイラクが米英軍に統治されるべきだとの考えで一致していると強調した。また、「英国、米国、国連の3者の目指すところは同じだ」とも指摘した。しかし、「私たちが行うことはすべて国際法の枠組みの範囲内でのことだ」とも語り、暫定統治機構の立ち上げなどでは国連の承認を取りつけるべきだとの考えを示唆した。
両首脳は8日朝もパウエル国務長官、ストロー英外相を交えて会談後、午前11時(同午後7時)から記者会見。その後、アイルランドのアハーン首相や北アイルランド和平の当事者らを加えた会談も予定している。
(04/08 13:20)
米軍、大統領宮殿にとどまる 中心部にも拠点確保
イラクの首都バグダッドの中心部に侵攻した米英軍は現地時間の7日夜、一部の部隊が、占拠した大統領宮殿内に戦車や戦闘車両とともにそのままとどまった。今後は、宮殿を足場に、圧倒的な火力を生かして同市内の重要拠点を襲撃する作戦に移る。米軍は、バグダッドを周辺から包囲すると同時に、市内にも橋頭保を築いた。
バグダッド市内に7日朝入った米陸軍第3歩兵師団第2旅団は、チグリス川西岸にあるスジュド宮殿と共和国宮殿の2カ所を襲撃、占拠した。ニューヨーク・タイムズ紙などによると、このうちフセイン大統領が住居として使用していたとされるスジュド宮殿には、3個大隊が残り、中心部により近い共和国宮殿を占拠していた部隊などは市外に引き揚げた。
イラク農業施設から「神経ガス反応」 米国で精密分析へ
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バグダッド近郊の農業施設で見つかったドラム缶から神経ガスの反応が出たと、7日、米メディアが一斉に報じた。米政府は詳しい説明を避けており、専門家も「農薬かもしれないので即断は禁物だ」と慎重な見方をしている。米軍はサンプルを米国に送り、詳しく分析する予定だ。
米陸軍の第101空挺(くうてい)師団が6日、バグダッドの南100キロの農業施設を調べたところ、ドラム缶十数個が深さ1メートルの穴に埋められていた。
その場で簡易検査した結果、一部のドラム缶から神経ガスの成分が検出されたという。同師団の指揮官はCNNの従軍記者に対して「液体の化学物質だ。殺虫剤の可能性もある」と説明した。
クウェートのイラク国境付近で待機する生物・化学兵器調査部隊の移動分析室と米国の研究施設にサンプルを送り、詳しく調べる予定だ。
ラムズフェルド国防長官は7日の会見で、「一報が後に間違いと分かる例が相次いでいる。今回も推測はしない。いま言えるのは、サンプルが届くまで数日かかることだけだ」と述べた。
「化学兵器は湾岸戦争後に廃棄した」というイラクの主張を崩そうと、米英などは開戦に踏み切った。化学兵器の発見は戦争の大義ともいえる。各メディアは今回の発見を「決定的な証拠だ」と大きく報道している。
一部のメディアは「ドラム缶に近づいた複数の兵士に中毒症状が出た」とも報じた。だが、現地指揮官は「ガスマスクの息苦しさと暑さのために体調を崩しただけだ」とCNNで述べた。
元国連査察官のテリー・テイラー氏はCNNの番組に出演し、「現段階では分からない点が多すぎる。化学兵器と農薬はもともと見分けにくいので慎重に調べる必要がある」と指摘した。
イラク戦争、勝利宣言「まだ後になる」 米国防長官
ラムズフェルド米国防長官は7日、米軍による大統領宮殿の占拠などを受けて記者会見し、「包囲網は狭まりつつある。フセイン大統領は国土のほとんどを統治できていない」と述べ、フセイン政権が崩壊の過程にあるとの判断を示した。ただし、勝利宣言については「まだ後になる」として、戦争終結まで、なお時間がかかるという慎重な見通しを明らかにした。
長官は「フセイン体制の指導者たちはますます孤立している」「彼らの選択肢はなくなりつつある。兵士はどんどん降伏し、残るのは戦争犯罪人だけだ」と述べた。
ただし、今後の戦争の見通しについては「イラクは大きな国であり、地方にたくさん仕事を残して幕引きはできない」として、バグダッド陥落だけで戦争が終わらないとの見方を示した。その上で、米英側が「勝利宣言」を出す目安として、(1)米英軍が比較的安全にイラク国内を移動できる(2)人道援助物資を搬入できる(3)国内避難民が故郷に戻れる(4)大量破壊兵器の所在や証拠について人々の協力を仰ぎ、その作業に時間を割ける――などを挙げ、「まだ時間がかかる。そのような宣言は、すぐには出せそうにもない」と述べた。
また、ラムズフェルド国防長官と一緒に会見したマイヤーズ統合参謀本部議長は、大統領宮殿を占拠した一連の作戦について「フセイン体制は終わったというメッセージをイラク国民に伝える狙いがある」と語った。さらに、同議長はイラク側の応戦について「共和国防衛隊が現時点でせいぜい出来ることは、非常に小規模な部隊による散発的な攻撃だけだ」と述べ、バグダッドを守ってきた共和国防衛隊が、もはや組織的な抵抗をできないほどの壊滅状態にあるとの見方を示した。
ただし、チグリス川東岸の旧市街などに潜伏しているとみられる精鋭の共和国特別防衛隊については、「フセイン体制に忠誠を誓っており、体制と運命を共にしている」として、バグダッド攻防戦は、むしろこれから本格化するとの見方を示した。
バグダッド商店街に爆弾、14人死亡 米英機の誤爆か
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バグダッド市内で7日午後、米英軍機が落としたとみられる爆弾が商店街で爆発し、崩壊したビルの下敷きになるなどで少なくとも14人が死亡したと、AFP通信が伝えた。住民がなお救出作業を続けているという。
同通信によると、市西部の住宅街マンスール地区にある商店街。爆発によって深さ8メートルに及ぶ穴ができ、4軒が破壊された。
現場は、フセイン大統領が突然訪問し、その場面が4日のイラク国営テレビの衛星放送で放映された街角の近く。
(04/08 10:46)
「ケミカル・アリ」の死亡を確認 米国防長官
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フセイン大統領のいとこで、「ケミカル(化学)・アリ」の異名がある元国防大臣のアリ・ハッサン・アルマジド将軍の生死について、ラムズフェルド米国防長官は7日、米英軍の攻撃で死亡したことを確認した。
米英軍は5日、将軍の殺害を狙ってバスラ市内の自宅を空爆。将軍のものとみられる遺体が見つかったものの、本人かどうかの最終確認はできていなかった。
国防総省は7日の会見で空爆のビデオを上映。最初の爆弾は近くの歩道に外れたが、2発目が自宅に命中したという。マイヤーズ統合参謀本部議長は「作戦は成功した」と説明した。
ラムズフェルド長官も「ケミカル・アリの恐るべき支配は終わった。もう二度と、あなた方や家族を恐怖に陥れることはない」とイラク市民に呼びかけた。
同将軍は88年、イラク北部で反乱を起こしたクルド人勢力を化学兵器で虐殺した作戦の責任者だった。
クサイ氏は生存、精鋭部隊指揮 米軍が通信傍受し確認
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ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)によると、開戦以来、所在も生存も確認されていないフセイン大統領と2人の息子のうち、米軍は7日までに、大統領の後継者と目され精鋭部隊の共和国特別防衛隊を率いる次男クサイ氏が依然生存して、部隊を指揮していることをつかんだ。イラク軍の通信を傍受して判明した。
通信内容を聞いた米軍の情報将校によると、イラクの軍部が衛星電話を使ってクサイ氏に報告した中で(1)米軍に多大な死傷者が出ている(2)各都市で米軍をうち破っている(3)サダム国際空港への攻撃は水際で撃退した――などと説明しているという。フセイン大統領の恐怖政治の下で、だれもこわくて本当の情報を大統領や一族に報告しなくなっている、と米軍はみている。
(04/08 10:12)
フセイン大統領はどこに 民家に潜伏?変装も得意?
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バグダッド中心部を占拠した米英軍は、フセイン大統領の捕捉に一層力を注ぐと見られる。しかし大統領の所在はごく限られた者しか知らないうえ、大統領宮殿のほか、米英軍が把握していない隠れ家も各地にあるとされる。
アンマンの軍事筋によれば、米英軍が7日、チグリス川沿いの大統領宮殿を急襲した際、念入りな捜索をした様子はない。米英軍がこの宮殿を狙ったのは心理的な打撃を与えるのが目的で、大統領が実際にいると見込んでいたわけではないとみられる。
大統領宮殿は市内に大小10カ所余り。このうち大統領が居住する宮殿には地下シェルターがあり、相当の爆撃にも耐えられるとされるが、米英軍がバグダッド中心部に侵攻した現在も、大統領が宮殿になおとどまっている可能性は低いとの見方が一般的だ。
潜伏先についてはさまざまな情報がある。91年の湾岸戦争当時、爆撃を避けるため、市民が避難する市内北部のシェルター近くの民家にかくまわれていたとの話もある。いざとなれば変装して自ら車も運転すると、バグダッド市民の間で語られている。一般市民に紛れて潜伏すれば、ハイテク機器を駆使して捜索する米英軍にとっても捜し当てるのは容易ではない。
イラク戦争開戦前、大統領は次男で共和国防衛隊など精鋭部隊を率いるクサイ氏に権限をゆだね、地下に潜伏して周囲との連絡を一切絶っているという、イラク反体制派の情報もある。裏切りを恐れるため、詳しい所在を知るのは同行する護衛を含めた一握りの人だけとされる。
盗聴で情報が漏れることを防ぐため、無線などの使用も避けているとされる。79年の就任以来、多くの暗殺計画をくぐり抜けてきた大統領には経験と知識の蓄積があり、所在情報はめったなことでは漏れないだろう。
バグダッドで市民蜂起、60人以上死亡 国営イラン通信
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国営イラン通信は7日、バグダッドからの情報として、市民とイラク軍との間で武力衝突が起き、少なくとも35人の兵士が死亡し、市民側にも60人以上の死者が出たと伝えた。イラク軍は衝突後、反乱を指導したと見られる市民の家数軒を攻撃した。
(04/08 01:31)
国連事務総長、イラクの復興問題特別顧問を指名
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アナン国連事務総長は7日、イラクの戦後復興問題に関する事務総長特別顧問に国連高官のラフューデン・アハメド氏を指名した。政策面でアナン氏に提言するほか、米英など交戦国やフセイン体制後のイラク側との連絡、調整に当たることになる。アハメド氏はパキスタン出身で国連開発計画(UNDP)に長く勤務し、今年2月からイラク問題にかかわっている。
(04/08 01:09)
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