<イラク戦争>バスラ市民にイラク側砲撃の情報
イラク戦争に参戦している英軍は28日、イラク南部の主要都市バスラから脱出しようとした住民数千人に向けてイラク軍部隊が同日、砲撃したと明らかにした。若い女性1人が重傷を負い、他にけが人数人が出ているとしている。イラク側からの反応は出ておらず、砲撃の背景などは不明。(毎日新聞)
<イラク戦争>バスラ市民犠牲 英軍「イラク准軍事部隊が発砲」
ロイター通信記者がイラク南部バスラ近郊から伝えたところによると、砲撃が起きたのは28日午前10時ごろ。バスラを包囲する英軍第7機甲師団によると、住民の近くに8〜9発の砲撃が加えられた。死傷者の全容は不明。英軍第7機甲師団がイラク側の砲撃に対抗して介入、負傷した住民の救出に向かっているという。(毎日新聞)
<イラク戦争>バスラ市民数千人が脱出の報道
【ロンドン岸本卓也】28日付の英各紙は、米英軍に包囲されたイラク南部の主要都市バスラから、水や食料を求める数千人の市民が市外に脱出し始めたと伝えた。米英軍に保護された人々は市民の不満が募っていることを訴えたが、フセイン政権配下の治安部隊による厳しい監視態勢が続いているという。
英各紙従軍記者の共同取材として伝えたところによると、市民は古ぼけた車や徒歩で市内から延びる鉄道線路沿いの道などから脱出してきた。ほとんどが着の身着のままで、英軍兵士らに「水をくれ」と迫った。近くの村の親類や知人らを頼って出てきた人たちが多いが、中には「水や食料をもらったら市内の自宅に帰る」と話す人たちもいるという。
脱出した市民の話によると、停電で水道が止まったため、住民たちは不衛生な河川や沼の水を飲料用に使っている。このため、コレラなどの疫病の発生が心配されている。特に子供や老人の体力が弱っているという。食料不足も深刻で、腐ったトマトやタマネギなどの野菜だけを食べている人もいるという。
また、市内には治安部隊が市街戦に備え、住宅街に戦車や迫撃砲などの武器を隠し、市民が蜂起しないように監視を強化している。場所によっては治安部隊が住民を盾にするため、集合住宅に拠点を構えているという。
人口約150万人のバスラは21日から英軍主導の米英合同軍に包囲されている。赤十字などの支援団体が水道施設の復旧や援助物資の補給を始めているが、救援作業は進んでいない。(毎日新聞)
<イラク戦争>米軍の誤爆「イラクのミサイル」と説明
バクダッドの住宅地の市場などに26日、ミサイル2発が着弾し14人が死亡した事故で、米政府や米中東軍は27日、相次いで「イラク軍のミサイルだった可能性がある」と述べ、誤爆の可能性を示唆した前日の見解を翻した。背景にはイラクが軍事施設を民間施設近くに配置するなど、イラクと米国のギリギリの攻防がある。(毎日新聞)
<イラク戦争>油田都市にクルド兵 イラクは精鋭部隊配置へ
【アンマン小倉孝保】クルド武装勢力がイラク北部の油田都市キルクークに向けて進撃を始めたことを受け、この街を重要防衛拠点とするフセイン政権は精鋭部隊「共和国防衛隊」を配置し死守する構えだ。
キルクークは20世紀初頭、石油生産が開始された。以来、油田都市として重要な位置を占め、石殺到油情報紙によると、現在の石油生産量は1日約70〜90万バレルとされ、南ルメイラ油田(1日75万バーレル)と並ぶ国内最大級の油田だ。イラク全土での石油生産能力は1日300万バレルとされ、キルクークはその4分の1を担う。
石油発見以前、キルクークの多数はトルクメン人が多数派でクルド人、アラブ人とともに混住していた。石油の発見に伴い、その重要性が増すと、アラブ人中心のイラク政権はアラブ系のイラク人に安価な住宅を提供するなどしてキルクークへの移住を奨励。現在はアラブ系住民が多数派になっているという。
だが、トルクメン人はキルクークを今でも、自民族の町と考えているとされる。トルコに詳しい外交筋は「石油がほしいトルコが民族的に近いトルクメン系住民を使ってキルクークへの影響力拡大を狙っているのは疑いない」と指摘する。また、クルド人勢力はキルクークについてたびたび、「クルドが独立する時には、その首都となるだろう」と話している。
このため、共和国防衛隊のほかゲリラ部隊「フェダイン・サダム」がキルクークの守りを固め、外交筋は「米軍やクルド人部隊がキルクークに入ろうとすれば、バグダッド南方と同じように激しい戦闘になるだろう」と予測する。(毎日新聞)
<イラク軍>クルド人自治区の前線基地を放棄か 反体制派が支配
イラク北部クルド人自治区のチャムチャマル近郊で27日、イラク軍が前線基地を放棄し、反体制派のクルド人勢力、クルド愛国同盟が跡地を支配した。AFP通信が伝えた。イラク軍は米英軍の空爆で撤退を余儀なくされたとみられるが、チャムチャマルの西にある油田都市キルクークの防衛強化に回ったとの見方もある。(毎日新聞)
<イラク戦争>米海兵隊12人不明に 南部ナシリヤ近郊で
米CNNテレビが米国防総省高官の話として伝えたところによると、イラク南部ナシリヤ近郊の砂漠を行軍中の米海兵隊員12人が27日までに行方不明になり、同じ部隊の海兵隊員14人が戦闘で負傷した。これとは別に英BBC放送は、ナシリヤ近郊で26日、米海兵隊員にロケット砲が撃ち込まれ20人が負傷したと伝えた。(毎日新聞)
<イラク戦争>米地上軍12万人増派へ 近く共和国防衛隊と激戦
米政府は27日、イラク戦争の地上攻撃を強化するため、新たに米地上軍約10万人を4月末までにイラク領内に増派する方針を固めた。またラムズフェルド米国防長官は同日、バグダッド攻防をめぐり、近くイラク最精鋭の共和国防衛隊と大規模な地上戦を行う方針を示した。(毎日新聞)
<イラク戦争>首都挟撃へ態勢強化 英がバスラ放送局制圧か
米中東軍司令部高官は27日、イラクを襲っていた激しい砂嵐が収まったことから、バグダッド攻略に向けた攻撃を同日中にも強化する方針を明らかにした。英軍は同日、南部のバスラ近郊でイラク軍戦車14両を撃破したと発表、バスラの地元ラジオ・テレビ局が英軍によって制圧されたとの報道もある。イラク軍も同日、最精鋭の共和国防衛隊が中部地域で米英軍と交戦し、装甲兵員輸送車6両を破壊したとの声明を出した。一方、米統合参謀本部のペース副議長は26日、ナシリヤの戦闘で捕虜になった米兵の何人かがイラク側に処刑されたと述べ、一部に流れていた処刑情報を確認した。
【アッサイリヤ基地(カタール)田中洋之】中東軍司令部高官はロイター通信に対し「今後の数時間、数日のうちに我々の活動が増大することが分かるだろう」と述べた。米英軍を悩ませた砂嵐は収まり、今後数日間は好天が続くという。米軍は既にイラク北部クルド人自治区に約1000人の空てい部隊を投入、南北からのバグダッド挟撃態勢が整いつつある。
降下した部隊はイラク北部アルビルの北西約75キロにあるハリルの飛行場を確保。近く戦車や装甲車両などを搬送、北部戦線の拠点とする。同飛行場は20年前にフセイン政権が建設したが、91年の湾岸戦争後に、同地域が飛行禁止空域下とされた後は使われていない。
バスラでは26日にイラク軍の戦車部隊が南下し、米英軍と激しい戦闘となったが、英軍湾岸派遣部隊のバリッジ司令官は27日の会見で「イラク部隊の多くを破壊、撃退した」と語った。英軍は同日、イラク側が繰り出した14両の戦車すべてと4両の装甲兵員輸送車を破壊したという。26日には米英軍がクラスター(集束)爆弾を使い、イラクの戦車3両を破壊したとされる。
一方、イラク側は27日の声明で、共和国防衛隊やゲリラ部隊「フェダイン・サダム」などが米英の戦車などを各地で破壊したと述べ、クルド人自治区に集結した米軍に計51発のミサイルを撃ち込んだとしている。
一部報道によると、ナシリヤ近くで米軍部隊が自軍を誤って攻撃、37人が負傷した。また英テレビ局スカイニュースは27日、バスラのラジオ・テレビ各局を制圧したと報じたが、詳しい状況は明らかでない。
【ワシントン佐藤千矢子】26日、CNNに出演したペース統合参謀本部副議長は、ナシリヤでの捕虜問題について「彼ら(イラク側)は捕虜を処刑した」と明言。さらに「女性や子供を人間の盾にしたり、投降を装って発砲している。こんなのは見たことがない。胸が悪くなる」とイラク側を厳しく非難した。
ロイター通信によると、別の国防総省当局者は同日、これらの米兵はイラク軍に投降しようとしたところを殺されたとの情報を得たと語ったという。この場合、「処刑」とは状況が異なる。
イラク国営テレビは23日、イラク軍の捕虜になった米兵5人と、死亡した米兵数人の遺体と見られる映像を放映した。このうち数遺体の額に銃弾を受けた跡があったため、処刑された可能性が指摘されていた。
【アンマン小倉孝保】ムバラク・イラク保健相は27日、バグダッドで会見し、イラク戦争の開始後に約350人のイラク市民が死亡、約4000人が負傷したことを明らかにし、「米英軍は市民を狙って攻撃している」と批判した。(毎日新聞)
<イラク戦争>米、北部に空てい部隊 住宅地に誤爆の可能性も
イラクの首都バグダッド攻略をめざす米軍は26日、約1000人の空てい部隊をイラク北部のクルド人自治区に投入、首都侵攻への態勢を強化した。またペース米統合参謀本部副議長は同日、南部ナシリヤの戦闘で捕虜になった米兵の一部が処刑されたと明言、イラク側は27日、約350人のイラク市民が死亡したと発表した。(毎日新聞)
<イラク戦争>武力行使正当化する米国の姿勢批判 シリア大統領
シリア大統領は27日付のレバノン紙のインタビューで「米英軍はイラク全土の制圧に失敗し、アラブ世界全体で民衆の抵抗を引き起こす」と述べ、中東の民主化を掲げて武力行使を正当化する米の姿勢を批判した。また、米がイラクの次の標的として、シリアを意識しているとの見方について「その可能性は常にある」と答えた。(毎日新聞)
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