03/07/06 (日)
アムナート氏の腹部を貫通した弾痕。
向かって右腹部から入った弾は小腸を
ズタズタに切り裂き、左臀部上部に抜
けた。
バンコクの大学に通う
長女パンチャノックさん(21)
 TBS系列の報道特集「マフィアと闘う記者」ではタイ第二の都市チェンマイにある「北部日報」の社長兼編集長アムナート・ジョンヨティン氏(46)が紹介された。彼の編集室には拳銃と防弾チョッキがいつも置かれている。2000年4月、アムナート氏は四人の男に襲撃され、重症を負った。心臓を狙った銃弾は、彼が咄嗟に身をかわしたため急所を外れ、幸いにも命をとりとめた。彼はチェンマイ市の汚職を新聞で暴露し続け、そのため政治マフィアが口封じに暗殺を企てたと思われた。市の公共事業予算の一部は行政当局と関わりのある政治マフィアに流れ、マスコミや警察、軍までも政治マフィアの支配下に置かれているため追求は極めて困難になっている。政治マフィアには二つのグループが存在し、一つは選挙の票をカネで買収して議員となり、公共事業で汚職をする「政治家グループ」と、もう一つは現役の「軍人グループ」に分かれる。彼らは地方政治家と手を組んだり、自ら組織をつくって、公共事業を掌握する政府の担当部署とコネクションをつくる。そしてプロジェクトを誘致させ、予算の一部をコミッションとして受け取っていた。現在大学生の長女パンチャノックさんは語る。
 父を誇りに思います。もちろん父を失えばとても悲しい。でも覚悟は出来ています。もし父が亡くなればチェンマイに戻って父の新聞社を継ぎ、新聞発行をつづけるために私の持っている全てを注ぎ込むつもりです。
 そうした汚職の疑いがある公共事業の中には日本の援助によるプロジェクトもある。これらの疑惑に対し援助している日本の国際協力銀行は「資金の不正使用を防ぐため必要な審査を行っている。そのようなことがあるという事実は承知していない」と回答している。
(つづく)
 
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