眠れない夜
340円也の安ワインMon Frere片手に
また俺は、思い出の扉を押し開ける
昨夜、死んだ者は関係ないって
云いやがった奴がいた
そうかい、意気投合して飲んだ夜のことも
その相手が死んだら忘れるのかい?
おまえこそ、生きていると錯覚したまま死んでいるんだ
俺は忘れない
死んだから忘れるほど現実主義者にゃなれねえよ
俺の中では死んだ人間も、死んではいないんだ
忘れない限りは、死なないのさ
人生って命を永らえることなのか?
違うだろ?
正味期限の切れた命引きずって
脳が腐りかけても、人工心臓だけ動かしてりゃ
死んだことにはならないと、もっと長生きさせてもらえ
固定化した思い出であろうと
体裁で塗り固められた偽善よりマシだ
使い道さえしっかりしてりゃ、捨てる命も無駄じゃねえ
今夜は酔ったあげくの、どうちゅういむにい
言葉の真意を問われても困るってことだ