03/06/23 (月)
 昨日は散文詩みたいなこと書いたが、いろんな想いが交差してまとまりがないので、少し整理したい。やっぱり忘れられないんだなぁ、って、おかしな話だが自分の書いたものを読み返して、そう思う。最後のほう・・・寂しいんだ/と/泣きじゃくった/チンピラの/その死に/バカが死んだと/嘲笑した世間様の/偽善を/今にして/思い出している私も/やっぱり/寂しいだけのチンピラか
 そのままだが、よく私と連れ立って飲み歩いた悪友がいた。そいつが深夜、突然現れて「寂しい」って泣きだしたんだ。大人になっても子どもみたいな奴だった。そしてある日突然、奴がビルから転落して死んでしまった。自殺じゃなかったが、自殺みたいなものかも知れない。そんときの周囲の反応が「あのバカ、死んだか」という嘲笑だった。信じられなかった。悔しかった。最後までバカとして、そう思われて、死んでいった悪友の奴が可愛そうで、少なくともオレだけはそうは思わんぞって・・・ひとり酒を飲んでは泣いていた。オレもバカを自認しているから分かるんだ。それでも、人をバカというほどてめえらは利口か!って、泣いたあとで憤りが込み上げてきた。そして、そのままオレは今も時折、バカを露呈している。

 善良なる世間様から落ちて零れたオチコボレ、誰にも拾われず踏まれ蹴られて転がる命、流転人生ころころ転がり下水に落ちる。

 喧嘩も弱けりゃ根性なしに泣き虫がくっ付く。繁華街ビルの急階段を、オレの手を引っ張って、勢い余って二人で転がり落ちたこともあった。階段の角に顔面を突っ込み、奴の顔は血だらけだった。その顔で笑ったときの不気味さは今でも思い出すぜ。喧嘩っ早いのはいいが弱すぎて、オレにかかって来たこともあったっけ。それでもオレは一度も殴り返さなかった。分かるかい?パンチが効かない以上に、虚しくなるんだよ。子どもにゃ手を上げられないもんな。殴り返せと怒鳴る奴、ただそれを黙って見ていたオレの眼に、光るものがあったことを気付かなかったのか?深夜いきなり現れて「寂しい」と云ったまま、ぽろぽろ涙を流してた。あれからもう何年経ったろう。目先が利く小賢しい輩ばかりが鼻につく、今ほど奴のバカさかげんが懐かしく、自称他称のバカな自分が寂しいよ。大人に成りきれないバカな男の思い出さ。
 
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