---03/03/19 (水) ---
Akemiのロンドン便り
<対イラク攻撃>早ければ20日にも開戦 米大統領が最後通告
 【ワシントン中島哲夫】ブッシュ米大統領は17日午後8時(日本時間18日午前10時)過ぎから全米テレビ演説を行い、イラクのサダム・フセイン大統領と2人の息子に対して48時間以内に亡命しなければ武力行使に踏み切るとする最後通告を行った。また、報道関係者や国連査察官を含む外国人に速やかなイラク退去を促し、米国民に対しては、国連を舞台にした外交努力を打ち切って軍事行動を選ぶことへの理解を求めた。フセイン大統領が亡命することは考えにくく、早ければ米東部時間19日夜(日本時間20日午前)にも米英軍などのイラク攻撃が始まる可能性が高い。
 対イラク攻撃は、敵対国家やテロ組織への先制攻撃を容認した「ブッシュ・ドクトリン」が初めて発動されるケースとなる。国連に議席を持つ主権国家の政権打倒を目標に掲げた戦争は、米国主導の世界秩序を強める可能性と同時に、長期的な国際摩擦と混乱を招く恐れをはらんでいる。
 ブッシュ大統領はイラク情勢が「決断の最後の日々を迎えた」と述べて演説を開始。大量破壊兵器問題の経過を説明し、安保理決議1441など既存の国連決議によって米国と同盟国には軍事力で対処する権限があると主張した。
 続いて、名指しこそしなかったもののフランスなどが武力行使容認決議案に拒否権を行使する方針を続けたことを批判的に説明し、「安保理はその責任を果たさなかった」と断言。国連による「平和的な武装解除」が失敗に終わったと宣告した。容認決議を欠いた軍事行動になることについては、「我々の意思の問題」だと語った。ブッシュ大統領は中東地域の一部諸国が亡命を促したもののフセイン大統領は応じなかったと指摘。父親のもとで権勢を振るう長男のウダイ、二男のクサイ両氏にも亡命を求め、「拒絶すれば我々が選ぶ時期に軍事攻撃が始まる」と明言した。この演説はラジオを通じイラクにも放送されており、ブッシュ大統領は「暴君はまもなく去る。解放の日は近い」と呼びかけた。軍事・情報関係者に対しては、抵抗せず油田破壊や大量破壊兵器使用を控えるよう要求。戦犯は罰せられると述べ、「命令に従っただけだ」という釈明は認めないと警告した。ブッシュ大統領はさらに、テロ組織が米国や友好国の国民を攻撃する可能性を指摘。そうしたテロリストや支援者は「恐るべき結果」に直面すると警告した。大統領は、戦後の自由なイラクが中東全域の模範になれると指摘。米国やその他の諸国は中東地域の自由と平和の増進のために働くと約束した。
 米国は安保理決議1441の採択後、武力行使を容認する新決議採択をめざしたが、フランスなどが拒否権も辞さない構えで抵抗。米英スペインの3国は17日、決議案採決を取り下げる意向を表明し、「外交努力」を打ち切った。
 フセイン大統領らの亡命のために与えた48時間の猶予の開始時刻について、ホワイトハウスはブッシュ大統領の最後通告の演説が終了した米東部時間17日午後8時15分(日本時間18日午前10時15分)だと説明している。期限切れは同19日午後8時15分(同20日午前10時15分)となる。
●米大統領の演説骨子
ブッシュ大統領の演説骨子は次の通り。
一、イラクは大量破壊兵器の武装解除をいまだにしておらず、今後もフセイン政権が続く限りしないだろう。
一、米国は国連安保理の要求達成のために努力してきたが、一部メンバーの反対で、安保理は責任を果たせなくなった。
一、米国は自らの国家安全保障のために武力を行使する権限を持つ。
一、フセイン・イラク大統領と息子たちが48時間以内に亡命しなければ、攻撃を開始する。
一、イラク軍は「死に体の(フセイン)政権」のために戦うべきでない。
一、イラクの人々は自由を享受する権利があり、中東の国家のモデルとなり得る。(毎日新聞)
【参照=イラク最後通告 演説全文

 このブッシュの演説が甚だしい自己矛盾に満ちたものであることは云うまでもない。全て逆説をもって解釈したほうが理解し易いぐらいだ。イラクをテロ国家と名指しするなら、それを云うブッシュの「おまえの国こそテロ国家ではないか?」というふうに・・・それを支持するという我が小泉総理に至っては、云うべき言葉もない。強引な武力行使を遂行するブッシュへの、批判なき全面支持を口にする小泉総理はブッシュと同じ穴のムジナである。演説では米国は国家の安全を守るために武力行使を行う主権としての権限を持っているとあるが、国益優先を旗頭にするアメリカらしい主張ではある。ここでは主権は国家にあり、まるで国民の安全を凌駕するもののようではないか。近代国家アメリカが17世紀に欧州で確立した古臭い主権国家システム(sovereign state system)を持ち出すあたりに危険を感じる。彼は自由諸国は暴力に対して結束することで、国民を守る義務があると云いながら、一方ではその暴力行使をもって人道的介入(?)を果たそうとすることへの大いなる矛盾にも気付かないのであろうか?そこには、武力行使による人道的介入(humanitarian intervention)それ自体が人権侵害をもたらす道義的両面性を孕みながらも、紛争当事国の同意もなしに人道的介入が許されるなどという主権国家の奢りがあるばかりだ。このようにイラク最後通告演説の何処を切り取っても矛盾が出てしまうが、最後の結び「米国に神のご加護がありますように」では、まさに大国アメリカの超主権国家システムの奢りを象徴しているかのようだ。イラクよりアメリカ国民に、まずは神のご加護をと・・・神はさほどにえり好みするものであろうか?
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