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03/03/08-米軍が到着する前にクウェート市内を監視する装甲車とクウェート兵。(AP
Photo/Itsuo Inouye) |
<国連監視団>国境に展開の文民をクウェートに撤退
国連イラク・クウェート監視団は8日、イラク、クウェート国境の非武装地帯に展開する要員のうち、文民約230人をクウェート市に撤退させ始めた。米軍のイラク攻撃が近いとの観測が広がっていることから、停戦監視活動に不可欠ではない文民の安全を確保する措置を取った。監視団は91年の湾岸戦争後に非武装地帯での停戦監視のために設置され、兵員と軍事監視要員計約1100人、文民約230人が配置されている。(クウェート共同)(毎日新聞)
米、英、豪の特殊部隊がイラク潜入
緊迫するイラク情勢の中、米、英、オーストラリア各軍の特殊部隊がイラク国内に潜入、開戦に備え作戦行動を展開していると英紙が報道した。4日付のデーリー・テレグラフが報じたもので、4000人以上が攻撃目標の偵察などに当たっているという。一方、クウェート国内には米軍の空挺(くうてい)師団が到着。出撃基地の設営を行い、「Xデー」に備え、準備を着々と進めている。
開戦と同時に無駄のない、迅速な攻撃をするため、米英軍の特殊部隊は早くも1月にイラク西部の砂漠地帯に潜入。作戦は順調に進んでいるようだ。特殊部隊が最初に偵察したのはスカッド・ミサイルの発射台。米軍などの攻撃に対し、どの程度応戦する能力があるかを確認したものとみられる。同紙によると、特殊部隊の活動の主目的は3点。
(1)衛星写真で空爆の初期目標とされた施設がオトリでないことを確認する
(2)西部の砂漠地帯や、徹底抗戦が予想されるフセイン・イラク大統領の故郷ティクリットなどでのイラク軍の配備を偵察する
(3)イラクが戦争中に炎上させる恐れがある西部、北部の油田の監視、が中心となる。
3月に入り、オーストラリアの部隊も参加。カタールの特殊部隊本部やヨルダン、クウェート、トルコにある基地からヘリコプターなどを使い、イラク領内との間を事実上、自由自在に往復しているという。一方、AP通信によると3日にはクウェートに米陸軍の精鋭部隊、第101空挺師団が到着。米ケンタッキー州フォートキャンベルを拠点とする同師団は、米軍が制空権を確保した後に投入され、イラク国内の油田や重要拠点の制圧をするとみられる。同師団報道官は、ブッシュ大統領が開戦を決意すれば「部隊は敵の領内へ深く侵入する」と自信をみせている。
米軍に先立ってチェコ、スロバキア合同の核・生物・化学兵器対策大隊が、10日までに24時間体制の監視活動に入ったとのニュースも伝えられている。今月3日には米陸軍の精鋭部隊、第101空挺師団がクウェートに到着している。すでに二ヶ月前から潜入している米英の特殊部隊は、具体的には油田の位置特定のためレーザー計測器とGPSを併用し、ラップトップ・パソコンで正確な座標値を割り出していることが考えられる。これらのデータは空爆の際に威力を発揮する。核・生物・化学兵器対策大隊が真っ先に投入されたというのも、おそらくイラクの移動式弾道ミサイル及び生物化学兵器を念頭においたものだろう。特殊部隊の情報収集や軍事偵察衛星によっても随時追尾監視され、そのデータはNCW(Network-Centric
Warfare)において情報統括され、陸海空全軍に適用される。
報道された第101空挺師団のほかに、極秘に投入される特殊部隊では陸軍第一特殊部隊デルタ作戦分遣隊「デルタフォース」があげられる。なぜなら1991年の湾岸戦争において「デルタフォース」はイラクのスカッドミサイルの基地爆破を行っているからだ。イギリスの特殊部隊といえば特殊空挺部隊SASが有名だが、それより手強いのがイスラエルの「ヤマス」だ。1990年に創設されたヤマスは3つの下部組織からなり、うち一つがヨルダン河西岸に拠点を置いている。生活習慣から変装まで熟知した彼らは、難なくイラクの風景に溶け込んで行けるだろう。デルタフォースが爆破したイラクのスカッドミサイル基地も、その情報はイスラエルから提供された可能性大だ。かつてコードネーム「シャローム」という、モサドの現地工作員を意味するカッツァ(Katsa)がイラクのスカッドミサイルの実射と位置確認の極秘任務を帯び、ヤマスの訓練を受けて砂漠の民となってイラク深く潜入したことがあった。任務達成後、それらの情報によってイラクのミサイル基地は特定され、シャロームはかくして「砂漠のスパイ」としてモサドの歴史にその名を残す。湾岸戦争直前のことであった。米英の特殊部隊が現場で掻き集めた情報はかなり詳細に渡って分析され、NCWに蓄積されていることだろう。
今月3月から投入されたというオーストラリアの特殊部隊では通称「コブラ」と呼ばれている地方警察出動部隊GKUがあげられる。地方警察の管轄と思いがちだが、実質GKUは内務省と国家保安局の指揮下にあり、対テロ秘密情報活動全般に渡って従事している。将校15名含め約200名たらずの精鋭部隊だが、高速で飛行するヘリから100メートル先の標的を撃ち抜く射撃訓練を繰り返しており、戦場で多用されるヘリ出動の際にはコブラことGKUの出番も多くなるはずだ。水面下でのこうした各国特殊部隊の暗躍をもって、イラク開戦を待つまでもなく戦争はすでに始まっているとも云える。
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03/03/10-第101歩兵大隊がクウェート市外の砂漠において、M2A2ブラッドリー装甲車両を配備点検している。戦争を前に米英両軍は南イラクのパトロールを強化した。(REUTERS/Kai
Pfaffenbach) |
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