Akemiのロンドン便り
03/02/21 (金)
召集令状
 イギリスには各地にテリトリアル・アーミー(TA)とよばれる国防義勇軍(1907年に組織され、1967年以降は the Territorial Army Volunteer Reserve に改組)があります。
市民からなる週末だけのボランティア活動で、メンバーは全国に4万人ほど。ドライバーから会社経営者まで、なかには牧師さんなどもいるようですが、普段の職業はさまざまです。 軍隊としての身分は職業軍人よりもずっと下、いわば最下位の軍隊です。

 そのTA隊員たちに召集礼状がとどきはじめたようです。 行き先は、もちろんイラク周辺です。 国中で反戦ムードが高まりつつある今日、仕事や家族の事情を理由に4人にひとりは要請を断わっているようですが、召集令に応じるひともいます。 
知らなかったのですが、TAは前回のアフガニスタン戦にもずいぶん参加していたようです。TAは実はイギリスの軍隊の4分の1を占める重要な構成員なのでした。
 昨晩のこと、今回召集状をもらった何人かのインタビューがテレビのニュースで流れました。
「反戦デモに参加する人びとの気持ちもわかる、残していく家族のことも心配だ、けれども国のために戦うのは自分の義務でもある」と、迷彩服のユニフォーム姿で答える青年の表情には何かふっきれないものがあるように見えました。
なんとなくイヤだなとは思いながらも、ここで断わればこれまでボランティアとして関わってきた軍隊の意義、ひいては己を否定することになる。 それで、イエスかノーかと答をせまられた時、熟考する間もなく慣性的な選択をしてしまったのではなかろうか、この人はあとできっと後悔するだろう、今ならまだノーの選択が許されているのに、、、

 戦争は人殺しであるのだから、出かける人はそれなりの決意と信念をもって行かないといけません。 いまどき戦に出て故郷に錦を飾るというものでもあるまいし、スリルや自己満足のために戦争に行くというのは、リスクや犠牲が多すぎバカげています。 
ところで、きのうはイギリス国教会と英国カトリック教会の大司教がブレア首相にイラク攻撃反対の進言をしたというニュースもありました。
 この戦争に信念をもって参加できる人は、経済的にみても宗教的にみてもあまりいないと思います。 やるならまず言いだしっぺのブッシュ大統領に前線に立ってほしいものです。