10日ばかり日誌を休んでしまったが、パソコンを工場に移しためインターネット通信が出来なかった。メールを寄越された方、心配をおかけしました。この10日間に廃業が決定し、いま会社の整理に追われている。迂闊だったのは、解散手続きで法務局などに8万円支払わなければならない、ことを考えていなかったことだ。分割払いは出来ないのか?と云ったら一括払いなのだそうだ。資金難が原因で会社を辞めることになったのに、廃業するにもカネがかかるとはどういうわけか?!それなら破産宣告してみんなチャラにしたい、と云ったら、裁判費用など20万くらいかかると云う。相手は笑っていたが、冗談じゃないんだよ。とにかく解散手続きに向けて事を進めてくれ、と云っておいた。
この間に自殺を仄めかした同業者のところへ駆けつけたり、仕事の引き継ぎに監督と業者社長と打ち合わせをしたりと、何かと忙しかった。建築の仕事は全く無い、といった同業者の悲鳴ばかりが聞こえてくる。従業員を抱えているところは更に悲惨だ。そんな中で会社を維持しようと頑張れば頑張るほど苦しくなる。累積赤字がみるみる増えていくのだ。辞めるに辞められない状況の中で、自主廃業できる会社は不幸中の幸いとなる。収入がないのにどうして生きていかれるのか?どうして生活できるというのか?夜もぐっすり眠ったことがない。眠れないまま悶々と夜明けを迎える。分かるか?ああ分かるさ・・・私もそうだ。そうだったと、過去形で云いたいものだ。灯油をかぶって家ごと燃やしてしまいたい、という業者もいる。他人事ではない、そんな話を聞いていると絶望感が感染する。私ならさしずめピストルで頭を撃ち抜きたい。しかしピストルを買うカネが無い。自殺にカネはかけられない。こんな悪い冗談を交わしながら笑い飛ばしている。腹を抱えながら大笑いして・・・ふと寂しくなったりする。
寒さに打ち震えながら、寒さが厳しければ厳しいほど、春も近いのだと・・・思い込む。分かっているんだ、自然の春は必ずやってくる、ということは・・・分かっていながら今の寒さに耐えられなくなる。しかし、人間社会の季節変動に春は永遠にやってこないのではないか?と思えるほど絶望してしまうのさ。
16時半現在、次の仕事ベースが入った。この仕事だけは廃業後も継続してやることになっている。辛うじて職人としても誇りが保てる仕事のこと、誠意をもってやっていきたい。これをなくしては生きていけない。職人としての誇り・・・決して失ってはならないんだと。
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