朝から強風が吹きまくっている。今年一年を暗示するかのような冷たい風だ。経済的には最悪の年になるだろう。それでも心の余裕だけは失いたくない。失ってはならない。そう思いながらも、どうしても不安や焦りに苛まれてしまう。今日の午後から仕事にかかることにした。仕事とはいってもマラソンのスタート前の準備体操のようなもので、少し仕事を進めるだけにすぎない。去年暮れから工場に置かれたベース一台、多少赤茶けて錆び付いている。別に急ぐ仕事ではないのだが、今年の心構えを仕事に込めていきたい。それともう一つ、今年の抱負として「挑戦」をあげておきたい。何に挑戦するのか?何も決めていない、漠然としたものでしかないが、何となくそんな年になりそうな予感がしている。
タバコを切らしたので近所の自販に向かったらパトカーが止まっていた。相性の悪い警察のこと思わず引き返そうとしたが、何も悪いことはしていないのに逃げることはないと思い返して自販機の前に立つ。そしたら後ろから声をかけられたので振り向くと、自販機の持ち主であるところのオヤジさんだった。何でも数台ある自販機を壊されたうえに隣接する公衆電話の受話器を切り取られたのだと云う。見ればものの見事に受話器が切り取られていて、切断面から赤や青の配線が剥き出しになっている。横を見れば、警官の前で自販機メーカーの社員らしき作業員が、シャープのマニュアル片手に修理をしている。その様子から修復はかなり手間取るものと思われた。正月早々警察官に出会うとはとんだ年の幕開けである。
この不景気の中、追い詰められた人間どもの犯罪はさらに増えることだろう。恐いのは犯罪そのものではなく、自分をそこまで追い詰めていく心の過程だ。そこには底知れぬ人間の絶望感が横たわっている。金貸し老婆を殺害することへの正当化を理念づけるラスコーリニコフよろしく、ドフトエフスキーは小説「罪と罰」においてその究極の犯罪心理を描いてみせた。これは万人に共通する心理であり、犯罪の正当化ということでは戦争に象徴されるだろう。ドフトエフスキーの思想の深遠さはそこに「聖なる娼婦」ソーニャを登場させたことにある。ラスコーリニコフの絶望という漆黒の闇に射し込む一筋の光、それがソーニャの無垢な愛そのものではなかったかと・・・侮蔑されながら何故彼女はそうした無垢な愛を保ちつづけていられるのか?その自問自答によって救われていく大学生ラスコーリニコフの心の過程は、自分の心に照らし合わせて検証するに値するだろう。
NHK総合テレビで大河ドラマ「宮本武蔵」がクイズ形式で紹介されていた。かつては私も夢中になって読んだ吉川英治著「宮本武蔵」であった。1935年から1939年にかけて朝日新聞に長期連載されたというから、満州事変が起きた年の(1931年)四年後に吉川英治(1892-1962)の連載が始まったことになる。生前の父などは、彼をして「戦争を鼓舞した小説家だ」とよく言っていたものだ。満州事変の翌年に5.15事件が勃発、1933年に日本が国際連盟を脱退すると、三年後には2.26事件が起こっている。そして翌1937年に日中戦争が始まり、日本は坂道を転がるようにして戦争に突入していくのだ。そんな中で大衆小説「宮本武蔵」の果たした役割は少なくなかったのではないか、と思い始めている。単に娯楽にとどまらない影響力のことを考えている。今夜の番組では真剣による抜刀実演も披露され、日本刀の切れ味を見せ付けていた。決闘殺戮の中を連戦連勝で駆け抜けた宮本武蔵という人物が、戦争当時において連戦連勝のデマを流しつづけてきたマスコミとだぶってくる。
【気になるニュース】
驚きの新政策、引退控え連発 マハティール首相
米軍がパキスタン領内を空爆
中国紙が北朝鮮経済をチクリ
台湾チャーター便、中国乗り入れか
ソロモン諸島で過去最大級のサイクロン被害
ブラジルのルラ新大統領が就任 変革訴え
竹中氏、訪米へ 財務長官らと会談
「改革路線を確固たる軌道に」 小泉首相が年頭所感
外国企業、2年連続で上場ゼロ 東証、アジア企業誘致に
インターネット利用、増加続く 香港が時間最長
【視聴予定】
選別対象局→NHK総合 NHK教育 テレビ朝日 日本テレビ TBSテレビ フジテレビ
■21:35-23:00 NHK総合ドキュメンタリードラマ「幸田家の人びと」
中村梅雀、原田美枝子文豪幸田露伴、食にこだわる▽江戸から平成作家四代の物語▽名作”五重塔”誕生▽親子の絆、娘が嫁ぐ日▽幸田文の足跡をたどる孫娘奈緒の旅
■23:10-24:00 NHK総合海外ドラマ正月スペシャル「ジャンヌ・ダルク」
[前] リーリー・ソビエスキー
|