北朝鮮がIAEA査察官に国外退去を通告 31日に出国
国際原子力機関(IAEA)は28日、北朝鮮当局者が同日、核凍結の監視のため寧辺(ヨンビョン)に常駐していたIAEAの2人の査察官に対し、早急に国外に退去するよう通告、IAEA側も査察官に退去準備を進めるよう指示したことを明らかにした。査察官は31日、北朝鮮を出国する。IAEAのエルバラダイ事務局長は「北朝鮮は国際的義務を公然と無視した。核不拡散体制にかつてない危機を作り出している」と厳しく批判した。
北朝鮮は同時に「中断した原子力発電所の建設を完成させ、燃料棒を安全に保管する準備の一環として、放射化学研究所(再処理施設)も稼働させる」としているが、ここでいう「中断した原発」とは寧辺核開発センター内にある「50メガの原発」のことで、南に隣接して巨大な(長さ180メートル)再処理施設(北朝鮮ではこれを放射化学研究所と呼ぶ)がある。この放射化学研究所で核爆弾に使用するプルトニウムを抽出するわけだ。しかし、専門家によれば、ミサイルに搭載できるプルトニウムを製造するまでには至っていないのが現状だと思われている。
【参照】寧辺核開発センター
北朝鮮の核燃料棒移動は1000本 IAEA確認
国際原子力機関(IAEA)は26日、北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)の黒鉛実験炉内で、前日開始した燃料棒の移動を26日も進め、原子炉付近に集められた燃料棒の数は1000本に達したことを確認した。原子炉には8000本の燃料棒の装填(そうてん)が可能で、今後も再装填に向けた燃料棒の移動が続くと見られる。IAEAのエルバラダイ事務局長は同日、米CNNに対し、「北朝鮮は1カ月後には原子炉を再稼働できる」と懸念を表明、「核を使った瀬戸際政策」を強く批判した。北朝鮮は今後、再稼働に必要な燃料棒の移動を終えた後、燃料棒の再装填、原子炉の稼働準備、再稼働と、対応をエスカレートさせていくと見られている。ウラン燃料からプルトニウムを新たに作り出すとの脅しをかけ、米国を交渉に引き出すための手段と見られ、実際の再稼働がいつになるかは不透明な点も残る。だがIAEA筋は「西側の原発での作業と比較して、再稼働に向けた北朝鮮の動きは性急だ。このまま再稼働に踏み切れば、安全上の懸念をぬぐいきれない」と話す。
ここでいう黒鉛実験炉(5000キロワット)とは、九龍江の川を挟んで北に隣接する「核物理学研究所」施設内の研究用原子炉のことと思われ、国産ということから「イギリスのコーダーホール型」を模倣した原子炉ということになる。これなら容易に解体かつ組み立てることが出来、国際原子力機関(IAEA)の監視の眼を盗むことも可能なのだ。アメリカは、前述した凍結されている寧辺の5メガ原発と泰川の20万キロ原発をフル稼働すれば、年間50個の原爆製造が可能だとしている。しかしながら、実際に原子炉の整備から原爆用プルトニウム抽出に至るまでには二年以上の準備期間が必要とされ、現時点で北朝鮮の核ミサイルが脅威となることは考えにくいことである。CIAは北朝鮮がすでに数個分の原爆を保持していると警告しているが、仮にこれが本当だとしてもミサイルそのものの命中精度にも疑問が出てくる。しかしながら、これ以上北朝鮮が追い詰められればミサイルを発射しかねない事態も想定されるだろうし、そうなれば命中精度に欠陥があるとはいえ国際的な大問題に発展することは避けられない。願わくば金王朝の内部崩壊での消滅を期待したいものである。そのためには飢えに苦しむ北朝鮮国民の決起も必要だろうし、「将軍様万歳」といった個人崇拝意識からの解放と改革が先決となろう。金王朝の牙城を強固にしている軍隊のクーデターがそれをより加速することも含めて、金王朝崩壊が間近に迫っていることだけは確かなようである。
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