02/11/13 (水)
8-16℃ 西5〜8m/sやや強風
 今朝は珍しく早起きしている。午前5時半頃から目覚め、インターネットを始めた。というのも、実はわけがある。持病の再発、また足の親指が痛み出したのだ。典型的な痛風の症状だ。仕事を中断するわけにはいかないので、しばらく途絶えていた民間療法を痛風にも試すことにした。以前からの読者は何のことか、およそ見当がつくと思うが、その即効性に改めて気付いたからだ。ある部位の炎症が数日間でたちどころに治ったことで、痛風にも応用することを思いついた。こう頻繁に痛風が起きると、やはり不安になってくる。大袈裟なようだが、命に関わるのではないかと怯えるのだ。トイレに行くにも這うような悲惨はもうたくさんだ。この療法を痛風に応用することで結果がどう出るか?完治した時点でその闘病の記録を公表しようと思う。そのためには、この日誌のように毎日続けなければ意味がない。継続は力なり、である。今の仕事しかり、作業を持続することでしか結果は出ない。ときに挫折しそうになりながらも、迷いを振り切って再び奮起する。生きることの持続しかり、自分の心臓が動いている限り、生きることは止められない。思えば不思議なものだ。自分のものでありながら、自分の意志では制御できない心臓・・・いったい誰が支配しているんだ?と思うことがある。自分で生きているというのは錯覚なのか?・・・何ものかに生かされているとしたら、それは何ものなんだろう?実に不思議だ。こうした素朴な疑問と好奇心があるかぎり、私はまだ生きていける、まだ死ねないと・・・痛風の痛みは生きている証だ。苦痛だけが生きている証だとは思わないが、少なくとも生きものとしての自覚を促してくれるのは確かだ。母の言葉がよみがえる。・・・病室で目覚めるたび「ああ、まだ生きている」って思うんだ。自分の腕をこう擦ってね・・・来年には梅干をつくると云っていた母も、それを待つことなく末期癌で果てた。台所には梅干を入れる大きな壺が埃をかぶって眠っている。おふくろの梅干をもう一度食べたい。夢でもいいから、もう一度おふくろに会いたい。
 12時30分現在、妹に身の回りのことをやってもらった。風邪をひいているということで、午後から帰って行く。心なしか足の痛みが軽減しているようだが、腫れはまだ引かない。今朝、ザリガニが死んでいるのを確認、合掌する。ザリガニが頑張っているかぎり、私も頑張って生きていこうと思っていたが、ザリガニが死んだ以上生きている意味がない・・・などと冗談を云ったら妹に大笑いされた。あとでザリガニを葬ってあげたい。映画「禁じられた遊び」を思い出した。小さな生きものたちの墓を密かにつくる戦争下での子ども、少女ポーレットとミッシェル少年・・・ナルシソ・イェペスの奏でるギターの音色が今でも心に染みている。大人たちがそうした少年期のやさしさを失わないでいられたら、悲惨な戦争など決して起こらないはずなんだよね・・・さあ、私の孤独な戦争が工場で待っている。這ってでも仕上げなければならない仕事のこと、弱音を吐いている暇はない。
 16時現在、やっと仕上げ一歩手前まで終えた。一時雨が降り、焦った。西の空が晴れているので天気はすぐ回復するはずだ。無理したため痛みが増している。覚悟していたこととはいえ、つらい・・・ワインを飲み始めている。ヨーグルトを混ぜ、砂糖を加えたもの、これが美味い。ヨーグルトは自家製、牛乳を人肌程度に温め、これに市販のヨーグルトを加えて保温ポットに入れるだけ。約12時間程度でヨーグルトが出来る。今日は仕事中、ちょっと挫けそうになった。投げやりになったといったほうがいい。ふと同県の円谷選手のことが頭を過ぎった。東京オリンピックのマラソンで銅メダルをとった選手、自衛隊隊員で足の故障に悩んで自殺した。その甥という人物と居酒屋で隣り合わせたことがあった。空手の猛者で、暴力団組員に怪我を負わせて逃げていた。酔うと必ず叔父でもある円谷選手の話をした。何故か私と気が合った。ある夜私は、ガンで入院中の母の話をした。すると彼は見舞いに行くと言い出した。しかし彼は現れなかった。数日後、同じ居酒屋で彼と再び会った。彼は私を見ると「オレは約束をやぶってしまった」と謝った。私は笑いながら思わず「いいよ、そんなことで謝らなくても」と云った。すると彼は激怒して「オレを殴ってくれ、それでないと自分が許せない」と云い、断る私を強引に外に連れ出した。そして「さあ、殴れ」と目を瞑って立ちはだかる。私はただ躊躇するばかりだった。しばらく黙っていたが、「早く殴らないと、オレが殴るぞ」と迫った。空手の猛者に殴られてはたまらない、私はつい手を出した。しかし、これは彼の計算だった。最初から私を殴る気などなかったのだ。彼は私の足元に崩れて気を失っていた。なんという男だろう・・・これまで自分を責める人間には会ったこともない。私は彼の肩を抱きかかえて元の居酒屋に戻った。清々しい彼の横顔を覗き見ながら、この夜、私も何となく嬉しい気持ちで酔っていた。今頃何処でどうしているのやら・・・まだ暴力団に追われているのだろうか?また会って酒を酌み交わしたいものだ。あのときを思い出すと、今でも拳に鈍い感触を感じる。私は尊敬すべき人間を殴ってしまったのだ。
【視聴予定】
19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 さまよう難民・アフガンは今
21:15-22:00 NHK総合 その時歴史が動いた 激突・武田信玄・上杉謙信・川中島の戦い▽大逆転を呼ぶ風林火山の秘策
22:00-23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽カブール陥落1年…苦難の子供達に冬が▽銀行を頼らない・不況下の資金調達
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