02/10/28 (月)
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特殊ガス、抵抗する間なく武装集団を次々射殺 モスクワ
劇場正面入り口の左方向から突入していく特殊部隊
 特殊部隊による約2時間の突入劇だった。モスクワの文化宮殿劇場占拠事件は26日、冷たい雨の早朝に多くの犠牲者を出して終結した。AP、ロイター、イタル・タス通信などの現場からの報道によると、武装集団は特殊ガスの攻撃を受け、ほとんど抵抗する余裕がないまま劇場内で掃討されたという。
 武装集団がロシア政府に対する要求受け入れ期限としていた26日夜明け。午前5時半すぎ、劇場の建物の中から大きな爆音が数回とどろいた。ロシア当局によると、武装集団が予告通り人質の射殺を開始。まず2人が殺され、数百人の人質は一斉に逃げようとした。その事態を知った当局側は間もなく、棟続きの映画館やレストランなどに潜んでいた特殊部隊を突入させた。 特殊部隊は一部の壁を爆破して中になだれ込んだ。外では装甲車が横付けするとともに、数十人の特殊部隊の第2陣が正面玄関から走り込む。その後しばらく激しい銃声が響いた。 特殊部隊は武装集団メンバーの多くや人質がいた観客ホールに、意識を失わせる特殊ガスを投入した。武装メンバーはガスを相当吸い込み、意識をなくしたか、動きが鈍った模様だ。特殊部隊には狙撃班も加わり、抵抗しようとした武装メンバーを次々に射殺。腰に缶詰爆弾を巻きつけた女性メンバーもいたが、爆発させる時間もなかったようだ。 特殊部隊は観客ホールに集められていた人質を次々に外へ救出し、バスで病院に運んだ。意識を失っていたり、歩けなかったりして担架で運ばれた人々も多かった。救出された人質のうち42人が相当のガス中毒症状を示しており、救急病院の医師は「症状はよくない」と語った。 地元ラジオが伝えた医師の話では、人質の死者の一部は、ガスで意識を失った後に自分の吐いたもので窒息死したのではないかという。ガスは通気口から劇場内に伝わった模様だ。占拠事件の発生後に劇場に通じる下水や蒸気管で何らかの工事があったとの報道もある。その工事でガスを投入する準備が行われたという見方だ。 突入後に劇場から約50人の武装メンバーが外に逃げたとの報道もあったが、数時間後、パトルシェフ連邦保安局長官はプーチン大統領に「逃走犯はゼロ。特殊部隊側の犠牲もなかった」と報告した。モスクワ市内ではそのほか共犯の容疑で30人が逮捕されたが、詳細は公表されていない。
 昨夜19時のNHKニュースでは人質750人、死亡者は67人から90人に増えたと伝えていた。未確認情報として130人の死者が浮上していたところから、私はまだまだ少ないとみていた。それがやがて人質820人、死亡者118人と増加し、今に至っている。今後さらに増えていけば未確認情報130人に近付いていくことになる。
 左の写真は救急車で運ばれていく犠牲者だが、見たところすでに死亡しているようで、全身が脱力しているのが分かる。生きていれば、何がしかの生体反応があり、このような脱力状態にはならないと思う。左の男性は担架から左腕が力なくぶら下がり、中央下の女性はすでに遺体袋に覆われようとしている。足がはみ出しているのが痛々しい。いずれも血痕が見当たらないところから、催眠もしくは神経ガスによるショック死ではないかと推測される。生存者や軽症者は別にバス三台で運ばれている。気がかりなのは死亡者全員の検死が行われるかどうか?ということだ。これは遺族の切なる要望でもあろうが、催眠ガスの特定など死因の真相を明らかにするためにも必須となってくる。
モスクワの劇場占拠事件〜精神安定剤含むガス使用か、米毒物学者らが分析
 モスクワの劇場占拠事件で、ロシア政府の特殊部隊が突入時に使用した催眠ガスについて、米国の毒物学者や軍事専門家らは26日、人質の証言からバリウム(精神安定剤ジアゼパムの商標名)が噴霧された可能性が高いと分析した。
 米国など数カ国は、呼吸障害や吐き気、視覚障害を引き起こす非致死性の薬剤を開発しており、専門家の1人は「ロシアがそういった薬品を開発していたとしても不思議ではない」としている。証言によると、人質は当時、眠気を感じ、意識がもうろうとしたが、蒸気のようなものや化学物質のにおい、催涙ガスなどによる刺激などはなかったという。このため、米バージニア大のホルスティッジ博士は「まず頭に浮かんだのはバリウムの噴霧だった」と話す。断定はできないとしながら、バリウム吸入で「眠くなりもうろうとしたり、何が起こったのか、後から思い出せない状態になることがある」と説明した。同博士らは、1960年代に研究された遅効性の催眠作用と幻覚作用を持つ「BZ」を濃縮したガスを特殊部隊が使用した可能性もあると指摘している。
 皮肉なものである。ジアゼパムは神経ガスの治療薬でもあり、抗痙攣(けいれん)剤として用いられる。その副作用として、脱力感、嘔吐、眠気、歩行困難、言語障害、呼吸抑制などがあらわれる。これらの症状はロシア劇場占拠事件後の人質の症状と全て一致する。またホルスティッジ博士は、国家間でのジアゼパムなどの非致死性薬剤の開発を示唆している。軍事目的での非致死剤となれば、その副作用効果を最大限に引き出すため複数の薬剤を混合させるだろう。ジアゼパムの場合、もっとも考えられるのがダントロレンナトリウムだ。この薬剤を併用すれば弛緩作用が増強される。
 ダントロレンナトリウムとジアゼパムを混合濃縮したガスを劇場内に充満させれば、武装グループのみならず多くの人質の神経が麻痺して筋肉弛緩が起こって倒れてしまう。それに加えて眠気を誘発する塩酸マプロチリンを併用すれば眠気は増幅し、運動神経が阻害され、痙攣作用から失神してしまう。痙攣を抑制するはずの治療薬ジアゼパムも、ここでは逆に痙攣を誘導してしまうのだ。ジアゼパム複合剤によって汚染された患者が病院に運ばれても、医師が病名を特定するのは非常に困難なことになる。したがって治療するすべもなく、治療のつもりで投与した薬剤が逆に増強効果をもたらし命を、危険にさらしかねないことになる。こうした厄介さゆえに、各国はこぞって非致死性毒ガス兵器の開発を急いでいるというわけだ。
 今回のロシア劇場占拠事件で、仮にこうしたジアゼパム複合剤が催眠ガスとして用いられたとして、病院に運ばれた患者たちはどのような治療を受けたのか?気になってくる。想像を逞しくすれば、患者の回復が著しく早いようであれば、ロシア政府関連筋から病院側への連絡が行われた可能性がある。つまり、どんなガスを使用したか、ロシア政府が医師に伝達したということだ。ロシア政府は今回使用したガスを早速極秘扱いとして封印しようとしている。
人質116人がガス中毒死 モスクワ劇場占拠
 モスクワ劇場占拠事件で特殊部隊が突入時に使ったガスが、人質116人の死亡につながったことが分かった。モスクワ市医務当局が発表した。ロシア政府は市の発表を確認していない。
 モスクワ市医務当局幹部のエフドキモフ氏と、セリツォフスキー・モスクワ市医務総監は27日夜に会見し、死亡した人質117人のうち、チェチェン武装派の銃撃で死亡した1人をのぞき、全員がガス中毒で死亡したと発表。さらに入院中の646人のうち150人が集中治療を受けており、このうち45人がガス中毒で重体と明らかにした。医務総監らによると、市の医療当局が強行突入を知らされたのは実施の直前で、ガス中毒患者手当の準備ができていなかったという。使用されたガスについてエフドキモフ氏は、中毒者らの症状などから、通常の外科手術に使われるのと同様の効果をもたらす「麻酔性物質」と推定し、死亡した116人にみられた症状は、こうした麻酔性ガスを「大量吸入した際に起こるもの」と説明した。しかし、使われたガスの名称は知らないと話した。同氏によると、こうした麻酔性ガスの大量吸入は、肺や心臓、肝臓、腎臓などに機能障害を起こす危険がある。今回の場合、約60時間にわたり拘束され、水や食料の不足や精神ショックですでに衰弱していた人質に、ガスが強く作用した可能性が強いという。ロシア政府は、武装グループによる自爆を抑制するため、ガスを使ったと説明しているが、成分については明らかにしていない。
 やはり、というべきか・・・道理で人質の遺体に血のりが付いていないはずである。それも病院側の「市の医療当局が強行突入を知らされたのは実施の直前で、ガス中毒患者手当の準備ができていなかった」という証言はショックである。こうなるとロシア政府は「人質が死ぬことを分かっていながら毒ガス使用を許可した」ことになる。これはもう非致死性ガスの類いではなかろう。軍用致死性毒ガスといって差し支えないだろう。非致死性ガスも成分配合を濃縮したり追加併用することでは、致死性毒ガスに変わりうるということだ。116人もの死者を出すようなジアゼパム複合剤にはどのような薬剤の組み合わせが成されたのだろう。シメチジン、オメプラゾール、モノアミン酸化酵素阻害剤、フェノチアジン誘導体、バルビツール酸誘導体、これらの全ては先の塩酸マプロチリン同様、ジアゼパムと併用すれば中枢神経抑制作用を増強する薬剤といわれている。つまり、自分の体が思うようにならず眠ってしまう。これらを軍事目的に配合濃縮すれば、眠るというより失神して死に至ることになる。このような重症患者を治療するにはまず毒ガス成分を医師が分からなければならない。
 ロシア政府は強行突入での軍用催眠ガスを決定した時点で、即、モスクワ市医務当局にガス成分を伝達すべきだった。作った者なら、その治療法も分かるだろう。仮に分からなくても、ガスの成分ぐらいは医師たちに伝えるのが当然だ。いきなり数百人ものガス中毒患者が運ばれ、成分を特定しようとしても分からない。『いったい何のガスなんだ?!』と・・・戸惑いパニックに陥る医師陣の混乱が目に見えるようだ。そうしている間にも次々と死んでいく患者たち・・・たちまち死人の山が築かれていく。医師たちの無力感が伝わってくる。中には子供も含まれていたろう。その痛ましい子供の遺体以上に、それらを収容する看護婦たちの悲痛な心・・・クラウゼウィッツの『戦争論』は冷酷に言い放つ。「戦争は厳しいものであり、博愛主義のごとき婦女子の情が介入する余地はない」・・・累々たる死体の山に勝利の旗を立て、高らかに勝利宣言する為政者、狂喜する人々の群れ・・・今、世界で起こっていることはそういうことではないのか?
【視聴予定】
■20:00-20:45 NHK総合 地球・ふしぎ大自然 天空の狩人・ハヤブサ時速300キロ・摩天楼の谷間で空中戦▽カナダ街で子育て
■21:00-21:54 テレビ朝日 たけしのTVタックル ハマコー VS 田嶋が激突北朝鮮拉致&(秘)核疑惑スキャンダル新内閣で小泉ピンチ
■22:00-23:00 NHK総合 NHKニュース10 ▽日朝交渉団現地入り子供は…夫は…交渉見守る5人と家族▽ロシア特殊部隊突入続報
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