02/10/08 (火)
昨日は経済基盤としての生産と労働について書いたが、むろんやみくもにモノを生産すればいいということではない。それには需要と供給のバランスが保たれていることが大前提となろう。アナリストたちが指摘しているのもその点で、どんなに品質の良いモノを作っても売れないのであれば何にもならない。需要がないのにモノだけが溢れる、モノあまり現象が指摘されてから久しい。一方ではそうした大量のモノを安く買い叩き、熾烈な激安商戦が展開されている。中国あたりからはもっと安いモノがドッと流れ込み、消費者はいきおい安い中国産を買うことになる。品質も申し分ない。利にさとい経営者は人件費の高い日本を見限って、東南アジア諸国や中国に生産工場をつくり現地で従業員を確保してきた。これでは日本国内の生産業界は衰退するばかりだ。売れないのではなく売らないのではないか?と指摘するアナリストもいる。ただモノを陳列しているだけでは売れないのも当然で、売る努力が欠けているというのだ。私のようなモノを完成させることだけに専念してきた者には耳の痛い指摘である。ところが、売ろうと思えば安く買い叩かれる。私も原価ぎりぎりのところで何とか製品を納めているが、その原価さえ割るような例も珍しくはなくなった。それが原因で倒産する会社も続出しているが、運転資金さえあれば倒産せずに済む会社まで倒産している。銀行の貸し渋りが倒産を余儀なくさせているのだ。
これまで幾度となく同業者と連絡をとりあってきたが、今では諦めたのか話しあうことすら拒むようになっている。失業者が続出している現時点においても「知ったことではない」他人事なのである。関心事は具体的な仕事の有無だけで「個人ではどうしようもないことを考えても、考えるだけ無駄」という風潮になってしまった。だからこそ個人がそれぞれに集まって考えようと呼びかけているのだが・・・らちがあかない。心が萎えてしまっている。冷え切っているのは経済だけではなく、心もまた冷えきっているのだ。自分に直接関連するものでないことは全て他人事として無関心で済ましている。これもエゴに他ならないだろう。私にはこうした保身に凝り固まったようなエゴのほうが危険に思える。ちなみにエゴイズムを調べた。
エゴイズム(英egoism)〈イゴイズム〉
1 =りこしゅぎ(利己主義)
2 確実に存在するのは自我だけであり、自己以外のものは認識不能であるとする説。
りこ‐しゅぎ【利己主義】(egoism)
(1)-(イ)自己の利害だけを行為の規準とし、社会一般の利害を念頭に置かない考え方。主我主義。自己主義。
(ロ)人間の利己心から出発して道徳の原理や観念を説明しようとする倫理学の立場。必ずしも(イ)の意味での利己主義を主張するものではない。
(2)-他人の迷惑を顧みず、わがまま勝手に行動すること。身勝手。自分勝手。つまりは自分以外の存在を認めない排他的人格者ということか・・・底冷えのするような冷徹な響きをもつ言葉である。一般には利己主義と訳されているが、語源的には自我の完全実現から自己利益を倫理の基盤におくといった幅広い意味を含んでいるようである。この利己主義に対するのが利他主義(altruism)で、同じエゴイズムでも肯定的な意義を強調するときにはエゴティズム(egotism)という言葉が用いられるそうだ。
【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 シックハウスから子供を守れ
■21:15-22:00 NHK総合 プロジェクトX「勝負の警備システム作動せよ」 深夜の決闘連続射殺犯▽7坪から大企業
■22:00-23:00 テレビ朝日 北朝鮮亡命者が証言する”招待所”の実態と拉致被害者の生活▽ノーベル物理学賞
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