02/10/05 (土)
出火時119番後回しに 長崎造船所幹部が指示
 豪華客船ダイヤモンド・プリンセス(11万3000トン)の建造中に火災があった三菱重工業長崎造船所(長崎市)で、造船所幹部が作業員に「火災でも直接119番通報せず、担当部署などに報告するように」と指示していたことが、複数の作業員の証言でわかった。同社は「火災状況を安全担当部署で把握して、的確に避難させるための指示」としている。だが、今回の会社の通報は出火から約35分後。作業員からは「この仕組みが、消防による消火の遅れにつながったのでは」という声も出ている。
 複数の作業員の証言では、今年6月にダイヤモンド・プリンセスの工作部門であった防災避難訓練の際、造船所の幹部が「火事があっても119番通報しないで、社内の防災チームか管理職に連絡をするように」と参加者に指示したという。 こうした指示は日頃から社内で行われていたと見られる。ある下請け作業員は9月初めごろ、造船所の社員から「119番は勝手にするな。ぼやで消防を呼んでいいかどうかの判断は、所属長や現場の班長がする」と言われたと話す。別の作業員は、船内に置かれていた消火器について「使うと造船所内の管理部署に報告をしないといけない。小さな火事では水を使うように」と同船の建造以前から言われたという。三菱重工労組長崎造船支部の幹部によると、造船所内では
(1)火災を発見した従業員は直属の上司へ通報
(2)上司は造船所内の安全担当部署へ通報
(3)安全担当部署は造船所の総務安全担当者へ通報 この担当者が119番へ通報する仕組みになっているという。
 造船所総務部は訓練時の指示について「119番通報するなとは言ってない。安全担当部署への報告を指示したのは、火災状況を把握し、作業員に避難や初期消火を的確に行わせるためだった」と説明する。指示を受けたある作業員は「公共の消防車を出動させると、新聞記事になるからと受け止めた」と話す。同造船所では00年6月、液化天然ガス輸送船内で溶接作業中に火花が散り、断熱材などが燃える火災があった。市消防局によると、第一通報者は出火10分後に対岸で火災に気づいた市民だった。造船所は「記録がなく通報したかどうか分からない」(総務部)としている。00年6月の火災直後にあった朝礼に出席した作業員は造船所の現場責任者から「(消防や警察の)原因調査で作業が中断するので、安易に119番通報するな」と指示されたと話している。

 なぜ三菱重工側が119番通報を渋ったか?この答えは明らかだ。保険である。造船所の加入する船舶建造保険の支払いは「偶然の事故」が条件になっている。これが放火となれば保険金が支払われなくなる恐れがあるのだ。だから火災になった時点で、会社側は何とか自分たちで消そうとしたのではないか? というのは、これが放火であることを会社側は知っていたからだ。作業員の話では「火の気のたつところがないんだ。僕らは放火としか思っていない。先月まで4件ぐらい不審火があった。そのとき各部署の責任者が全員呼ばれた」ということであった。これに対し三菱重工側は「安全担当の総務などが関与する事件は一件もない」と否定している。これは逆だろう。過去の不審火が放火によるものであることを知っていたゆえに、彼らは保険を考えて何としてでも「放火による火災」ということにはしたくなかった。だから公になるまえに自分たちの手で消火しようとした。結果的に大火災となり、およそ400億円になろうかという被害を出してしまったわけである。さらに憶測を許してもらえば、放火には受注競争に関連する組織的工作の疑念が拭えないことを付け加えておく。したがって放火犯が特定されるのは極めて困難になることが予想される。日本の造船産業を失墜させるための何らかの意図が感じられてならないのだ。実況検分の結果がどうなるか?三菱重工側ではそれが「放火か?失火か?」と消防署の結果報告待ちいうところで戦々恐々としていることだろう。

【視聴予定】
■20:00-20:45 NHK教育 未来への教室・選集 光の芸術家J・タレル▽巨大クレーターを芸術作品に▽光を感じて宇宙を知る
■21:00-21:50 NHK総合 スペシャル「高級人材が帰ってきた」 欧米経験者が中国社会を変える▽新エリートの条件
■22:00-23:24 TBSテレビ ブロードキャスター 自殺?中毒?大洪水?生存者は労働党バッジ▽愛人証言が決め手…八木被告に死刑判決▽指輪にキス・安貞桓&美人妻物語
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