02/10/04 (金)
 風邪が長引いている。不眠も手伝って最悪の体調だ。仕事が途絶えたことへの気の緩みもあるだろう。今朝も熱にうなされて夢をみていた。北朝鮮の工作員を捜査している夢であった。夢とは分かっていても、その夢が妙にリアルに感じられる。ここのところの日本人拉致事件での過剰報道が、自分の頭の中で渦を巻いているようだ。風邪はあと数日で治るだろう。足のほうもだいぶ回復してきた。洗い物もずいぶん溜まっている。何より台風一過での修理が急がれている。猫族たちも我が家の台風の眼となって、派手に散らかしてくれた。コピー用紙が散乱し、遊び相手にしていたコオロギやザリガニの死骸まである。彼らのところかまわない排尿の臭いが家中に漂い、ゴミ箱はひっくり返すで大変な惨状になっている。やることは山ほどあるのに、何も手につかない。病みあがりの倦怠感でボンヤリとした日々を送っている。焦ることはない。ゆっくり養生しよう。即席ラーメンと食パンだけの食事にも飽きてきた。今日から米に切り替えようと思う。猫たちだけが元気に跳びまわっている。
 その夢にまで見た拉致事件だが、新事実が次々と出てきている。現在北朝鮮で暮している曽我ひとみさんの証言では、北朝鮮の招待所において何度か横田めぐみさんと一緒になったそうだ。曽我さんが拉致されたのは1978年8月で、横田めぐみさんはそれより九ヶ月前に拉致されていた。曽我さんが横田めぐみさんと会ったのは1978年と1980年の頃だという。1978年といえば、曽我さんが拉致された年である。その曽我さんは現在62歳になる元米兵チャールズ・ジェンキンズ氏と結婚しており、外語学校に通う美花(みか)とブリンダの二人の娘と共に平壌で暮している。夫チャールズは韓国勤務からベトナム戦争従軍を命じられて北朝鮮に逃れた人物で、北朝鮮映画「名もなき英雄たち」に出演したことで知られている。
 めぐみさんの一連の拉致事件には対南工作の工作員・安明進が関与していたことが判明している。1993年3月13日に死亡したとされる横田めぐみさんだが、1997年当時に平壌で北朝鮮の工作員と暮していたとの未確認情報もある。昨日の北朝鮮政府が提示した写真でも、それが別人であることが濃厚になった以上、ここはその生死の確認を急ぐべきであろう。ひょっとすると横田めぐみさんは生きているかも知れないのだ。北朝鮮にしてみれば、死んだことにしている彼女が、生きていると確認されたら極めてまずいことになる。考えたくもない想像が頭をもたげてくる。

 もう一方では寺越武志さん(53)が39年ぶりに日本に帰国したとして話題になっている。1963年5月、当時13歳だった寺越武志さんは、二人の叔父(外雄24、昭二36)と共に漁船に乗ったまま行方不明となった。その24年後、武志さんは叔父二人と共に北朝鮮で生活しているとの手紙が実家に届く。それを契機に武志さんの母・友枝さんは1987年に北朝鮮を訪問、行方不明だった我が子武志さんと対面している。この時、友枝さんは武志さんに20万円を手渡し、以後、武志さんの元に送金が続けられる。この頃から武志さんはとんとん拍子に出世し、エリートの証であるところの平壌での生活が始まり、労働総同盟・平壌委員会副委員長・金英浩として来日したのであった。彼のその第一声が「敬愛する金正日将軍さまのご配慮によって日本に来ました」というものであった。マスコミはこぞって39年ぶりの帰国と書きたてているが、武志さん本人は「拉致された」ことを否定したまま、平壌での豪華な暮らしを満喫かつ強調している。武志氏は「拉致されたのではない」と言っているが、1963年当時、北朝鮮が武志さんらを連行した背景には「見てはならないものを見た」何かがあったことは確かである。これは非合法活動を目撃されたとき、緊急避難的に目撃者を連行する「遭遇拉致」ではなかったか。その「何か」が何であったかは知るよしもないが、海上とあって、これまで何度か日本を騒がしてきた不審船絡みであった公算が大きい。
 もはや北朝鮮政府は日本人拉致事件を解決しようとする意図はないものとみていいだろう。解決するどころか一日も早く終結させたがっているようだ。こうした北朝鮮の見え透いた意図に、わが日本政府がまんまと乗せられているような気がしてならない。金王朝の独裁支配に置かれている北朝鮮政府の現状をそのままにして、何が日朝国交正常化なのであろう。国民を飢えのどん底に突き落とし、必要とあらば他国の人間をさらってくる・・・これは犯罪だというのだ。国交正常化をいうなら、金王朝の犯罪が裁かれたその時点しか考えようがないではないか。

【視聴予定】
■22:00-22:45 NHK教育 地球時間「ガウディ」 ▽生誕150年▽サグラダファミリアと天才建築家の苦悩
■23:30-24:35 TBSテレビ 筑紫哲也NEWS23 工作船引き揚げ物公開▽拉致事件
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