02/09/21 (土)
議長府内の20人がイスラエル軍に投降 包囲続く
 19日夜からイスラエル軍に包囲されているヨルダン川西岸自治区ラマラのパレスチナ自治政府議長府で20日朝、パレスチナ警察官20人が同軍に投降した。同軍がテロ容疑者として投降を求めている19人は含まれていないという。同軍はラマラを「軍事封鎖地域」に指定したうえで議長府内の施設を爆破しており、全員が投降するまで圧力をかけ続ける構えだ。
 20日未明、同軍のブルドーザーが議長府内に入った。敷地内にある議長警護隊や治安警察の施設が爆破された。議長執務室がある建物は破壊されていないが、20日未明の警護隊員の殺害は、執務室に狙いを定めるイスラエル狙撃兵によるものだ。パレスチナ通信によると、自治政府のアラファト議長はエジプトのムバラク大統領やヨルダンのアブドラ国王らと電話で連絡を取り合っているという。イスラエル軍がテロに関与したとして投降を求めているのは、西岸の公安警察長官タウフィク・ティラウィ氏ら。シャロン首相は20日、「ティラウィ氏が投降すれば、公正な裁判を受けられる」と述べた。またベンエリエゼル国防相は同日、「アラファト議長を追放する意図はない」と述べ、あくまでテロ容疑者の引き渡しが作戦の目的だと強調した。一方、過激派拠点を攻撃するためにガザ自治区へ侵攻していたイスラエル軍は20日早朝、撤退した。自治政府筋によると、8カ所の金属加工工場が武器製造拠点の疑いがあるとの理由で破壊されたという。
 ついにイスラエル政府の問答無用は自治政府のアラファト議長にまで向けられた。イスラエル側は「アラファト議長を追放する意図はない」としているが、追放する意図はなくとも削除したい欲望は抑えきれないようだ。すでにシャロン首相自らが「アラファト議長は殺しておくべきだった」と公式発言しており、一国の指導者の口からこうした言葉が出るあたり実に恐ろしいものを感じる。今回のイスラエルによる爆破は、そんなシャロンの宿敵アラファトへの意思表示に思えてくる。これに対しアラファト議長はヨルダン国王に救いを求めているようだが、アブドラ国王の立場から考えても彼が中東和平の鍵を握っていることは確かだ。(8月4日の日誌参照) しかしながら、アブドラ国王が率先して中東和平の指揮を取るかどうかは難しいところだ。彼の性格上それはあり得ないと思われるし、せいぜい各国首脳たちとの根回し的役割を担うに留まるだろう。これまで何度か和平に向けてリーダーシップを発揮してきた人物も登場したが、そのたびに暗殺されるという悲劇が繰り返されている。このままでは報復が報復を呼ぶ血の連鎖を断ち切ることはできない。イスラエルにしろアラブにせよ、その精神的支柱とする双方の神々の排他性がより中東を血生臭いものにしている。巷の神々の意志の反映として中東情勢を見直すとき、権力魔性の根源に巣食う宗教屋の偽善に突き当たる。汝の敵を愛してはいけないのであろうか?

【視聴予定】
■21:00-21:54 TBSテレビ 世界・ふしぎ発見!「古代エジプト封印された王妃の悲劇」 遺跡が語る謎・政略結婚…純愛…暗殺
■23:00-23:30 NHK教育 ビジネス塾 
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