02/08/26 (月)
気温21-24
 怪我した子猫の足が治りかけているようだ。骨折したかと心配だったが、どうやら単なる打ち身のようで、安心した。ずっとこの子猫を観察してきたが、痛みを堪えている様子は健気でもあった。『さぞ痛いだろうなぁ』と想像しては餌を口元に運んだりしていたが、その必要もなかった。子猫は痛い足を引きずっては、自分から餌を食べに来ていたからである。他の五匹の子猫たちと戯れて遊んでいたほどで、それでも時折足の痛みに甲高い鳴き声を発していた。所かまわずウンチする癖も相変わらずで、その後始末に追われている。元気なものである。いつまでも元気でいて欲しいが、成長するにつれまた様々なドラマが展開されていくことだろう。

 今日は引渡しの当日である。最後まで気はぬけないが、やるだけのことはやった。昨日の「報道特集 ▽世界最強の金型の危機」では、大手の横暴に泣く下請けの悲痛が実感された。誠意を尽くして仕事をしても単価を一方的に下げてくる大手、私もぎりぎりのところで「ほかではもっと安くやってくれるところがあるんだ」と言われたことがある。「それじゃ、その安くやってくれるところに回しな」と、仕事を蹴ったことを思い出した。その親会社も今はない。それと同じことが金型の業者間でも起こっている。熟練工の技術も今ではデジタル化して機械にプログラムされる世の中、それがコストの安い中国に向けて機械と共に流失しまっている。こうしたデジタル情報は下請け会社の命運を握る大事なものだが、元請けからの要請を拒めば「仕事がほしくないのか」と脅しがかかる。かくして世界に誇る日本の金型産業も土台から崩壊していくことになる。コツコツと積み上げてきた匠のワザが、大手親会社の採算性の中で消えてしまう。日本ではもはや仕事への誇りは保てなくなってきている。これほど労働が軽んじられた時代も今だかつてなかったのではないか。経済の基盤を支えているのは生産であり、人間の息づかいが聞こえる労働力から生まれる。札束で横っ面を張るような拝金主義経済は一種の暴力ではないのか。これこそ経済テロと呼ばずして何と呼ぶのか。吹けば飛ぶような中小零細の連綿たる汗と涙の滴りをもって、へばり付くように生きることがささやかな抵抗の意思表示だ、と・・・今日もオンボロ工場での孤軍奮闘を継続している。

【視聴予定】
■19:30-20:00 NHK総合 クローズアップ現代 大空への新規参入・第二の波
■22:00-22:45 NHK教育 ETV2002 緑の島は戦場になった(01)隠された敗北・ガダルカナル杉山隆男